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ゲルマン魂を受け継ぐトルコ系司令塔エジル

[7月8日25時@ヨハネスブルク]
 06年はポドルスキー、ラーム、シュバインシュタイガー、そして10年はエジルとミュラー。世代交代が進まず、すっかり停滞していた国もありましたが、ドイツに関しては心配無用です。

 どんどん若手が出てきています。しかも、23人全員がブンデスリーガで活躍中の“国内組”なんです。

 ただ、全員が国内組と言っても、02年以降は移民の子弟が徐々に増えてきています。彼らはドイツで多文化主義を意味する(multikulti)を頭文字を取って「M世代」と呼ばれているそうです。

 今大会、走れる天才ゲームメーカーとして活躍しているエジルもその一人。両親はトルコからの移民で、今でもトルコ国内に親戚が大勢います。つい10日ほど前にはトルコに住むエジルのおばあさんが亡くなり、南アで応援中だったお父さんが葬儀のためにトルコに帰ったという報道が出ていました。

 21歳のエジルはゲルゼンキルヘン出身。若くして頭角を現し、ブレーメンでブレークしました。年代別代表でも活躍し、昨年6月にあったU-21欧州選手権ではチームを優勝に導き、MVPに選ばれました。

 今大会はまさに大活躍。ガーナ戦で1ゴールを挙げているほか、3ゴールをアシストしています。

 日本ではJリーグFC東京の羽生直剛と顔が似ていると話題になっているそうですね。こちらでは、ドイツ国歌演奏中にコーランを唱えていたことが話題になっています。

 7日のスペイン戦はまったくいいところなく敗れてしまいましたが、試合終了後はピッチにダラダラと長居せず、すぐにベンチに下がり、何やら考えているようでした。

 おそらく気持ちは既に3位決定戦に向かっていることでしょう。ドイツは前回も3決に回り、ポルトガルを下して3位になっています。今回も負けるわけにはいきません。

 負けた後にある3決は気持ちの持って行き方が難しいもの。けれども、ゲルマン人以上の“ゲルマン魂”を持つエジルなら大丈夫。素晴らしいプレーを見せてくれるはずです。
(文・矢内由美子)

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