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バルサ仲本の「うちなー蹴人紀行」

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那覇西の意地、具志川の底力

[11.27 高校選手権沖縄大会決勝 那覇西3-1具志川 西原町民陸上競技場]

 今年の選手権、県代表は那覇西に決まった。具志川との決勝。前半34分、DF米澤賢吾のロングフィードから具志川の浅いディフェンスラインを潜り抜けたFW當銘隆憲が冷静にネットを揺らし那覇西が先制した。

 後半5分にはMF高野凌が追加点を挙げ、那覇西が優位に進める。
一方、今シーズン初の決勝の舞台に挙がった具志川(新人戦・総体は共にベスト8)。緊張からか前半は固さとパスミスが目立っていた。しかし後半に入ってからは次第に持ち味を発揮。ディフェンスラインからの正確なロングボールがピンポイントで渡り、快速オフェンス陣が数多くチャンスを演出していた。

 総体以降、徹底してディフェンスを鍛え上げ、正確なキックと決定力に磨きをかけたからこそ生まれた具志川のカウンターサッカー。短期間でその武器を手にし、飛ぶ鳥を落とす勢いで決勝に進んだ選手たちの顔は生き生きと自信を持ってプレーしていた。

 何度も押し寄せる具志川の波を抑えるのに必死だった那覇西イレブン。「具志川の攻撃は確実に那覇西を追い込んでいる。追いつく可能性は十分にある」。「1点返したらわからないぞ」。優勝候補に挙げられることが少なかった具志川に対し観客が期待を寄せ固唾を呑む中、後半24分、FW新里光が放つ右からのクロスボールをFW呉屋颯志が左足で決め1点差。思い通りの展開にこの日一番の歓声が上がった。

 しかしその4分後の後半28分、左からのコーナーキックを米澤がヘディングで決め那覇西が勝ち越しに成功。その瞬間、具志川の選手は思わず天を見上げてしまった。結局試合は那覇西が3対1で勝利。2年ぶり11度目の選手権出場を決めた。

 試合には敗れたものの3年生が3人しかいない中、ベストな試合を見せた具志川。進学・就職で引退する選手が多い中、決勝に勝ち上がったことは今後大きな自信になるだろう。「俺たちは出来る」。そう気持ちを植えつけた具志川・與座朝幸監督の功績は大きい。

 キャプテンで精神的支柱の桃原が準決勝、専門学校の入試で出場できなかったというトラブルもチームが一致団結して乗り越えた。技術も大切だが、指導者と選手が同じ気持ちで接しなければ選手は伸びない。今回の具志川の躍進は他の学校にとっても勇気をもらえたことだろう。残る1・2年生は先輩が残した財産を胸に、更なる発展に期待したい。

 そして今回、2年ぶりの優勝を決めた那覇西。去年出場できなかった悔しさをバネに戦った結果今シーズン、新人戦・高校総体に続く県内3冠を達成。キャプテン新垣昂平は「足がつっても、優勝に向かって頑張れた」と涙ぐみながら達成感にあふれていた。

 またこの大会、新しいスターも誕生した。1ゴール1アシストの活躍を見せた米澤だ。「相手FWにほとんど仕事をさせなかった。得点は練習どおり」と話す米澤。那覇西・松田邦貴監督も「以前まで先輩に気を遣っていたのか遠慮がちなプレーが目立っていたが、今では存在感を見せるようになってきた」と米澤を評価する。

 「今年は小粒なチーム。特徴がないのが特徴」と話す松田監督だが、攻撃の鍵を握る金城勇弥・宮城晃太のダブルボランチに加え、仲宗根良太・高野凌の左サイドプレイヤー、そして米澤と存在感漂うプレイヤーが揃っている。

 「全員守備全員攻撃」がモットーの那覇西。全国を相手にどれだけ自分達の力を発揮できるか。県勢最高のベスト8の壁をぶち破って欲しい。初戦は1月2日。二回戦で富山県代表の水橋と対戦する
 

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