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バルサ仲本の「うちなー蹴人紀行」

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J参入への挑戦、再び

 ご無沙汰しています。そして遅ればせながらではありますが、あけましておめでとうございます。2011年も沖縄のサッカー事情を南風に乗せてお伝えできればなと思っています。今後とも「バルサ仲本・ウチナー蹴人紀行」をよろしくお願いいたします。

 さて今回お届けするのは、FC琉球の準加盟申請についてです。先日11日、FC琉球は沖縄県庁で記者会見を行い、同日付でJリーグに準加盟申請を提出し、受理されたと発表しました。琉球は2008年に続く2度目の準加盟申請。前回は運営体制の不備、並びにJリーグ規格に沿ったスタジアムなどの設備が不十分であることを理由に却下されています。

 このときの申請、正直に言いますと「無謀」といっても過言ではありませんでした。競技場の建築計画もチーム主導で行い、自治体の理解も得られず。却下は必然的でした。準加盟クラブになるためには最低でも4つの条件が揃わなければなりません。「法人の設立」、「ホームスタジアムの確保」、「自治体の支援」、そして「健全な財政の確保」です。

 法人についてですが、FC琉球は株式会社ドリームファクトリーが運営しているためこの条件はクリアされています。問題は残りの3つです。

 Jリーグの規格では10000席以上(J1では15000席以上)の座席やナイター設備、そしてバリアフリーなど観客を安全に楽しませる十分な施設がホームスタジアムに整ってなくてはなりません。しかしながら沖縄にはそのすべてが揃ったスタジアムは存在せず、前回の申請の際もこのスタジアムの不備が特に問題視され、却下された経緯があります。

 スタジアムの建設、並びに改築に踏み切るためには当然ですが、自治体の理解が必要となります。自治体を動かす唯一の手段、それは「民意を伝える」ということです。昨年、県サッカー協会、民間企業、そしてサポーターが一つとなり「沖縄初のJリーグチームを誕生させる会」を発足、スタジアムの工事を求める署名を募ったところ、当初予想の3倍以上となるおよそ16万人分の署名が集まりました。

 この結果、県は沖縄市の県総合運動公園陸上競技場の改築に着手することを明言、事実上の「自治体の支援」を得られることとなりました。と同時に、ホームタウンも同球場のある沖縄市とし、「市を挙げて応援し、サッカー熱を県民全体に波及していきたい」と東門沖縄市長も準加盟申請に向け理解を示しています。なおスタジアムの改修は2012年度を目標としているとのこと。

 1月7日付で県はJリーグに「ホームタウンを認める書類」を提出、自治体からのお墨付きを与えられたことからFC琉球は準加盟申請に踏み切りました。チームのみならず行政もJリーグ参入に向け本気を見せている今回、しかしまだ超えなくてはならないハードルは多数存在します。

 J2に上がる際、最低でも5~6億円の運営費が必要で、この資金をどのように集めるのか、財政の確保の問題が残っています。このことについては今後、Jリーグのヒヤリングによって明らかになることでしょう。また、築20年以上経っているスタジアムの安全性、そして中継・放送設備、貴賓席、医務室、スタジアムの周りのインフラ整備なども必要になる可能性があります。これらをどのように解決していくのか、球団の手腕にかかっています。

 年初めに大きなお年玉がチームに、そして沖縄県にもたらすことができるのか。その答えは2月15日のJリーグ理事会で決まります。前回に比べれば可能性は高いと思うのですが・・・結果はいかに。


[写真]準加盟申請の提出を発表したFC琉球・榊原信行代表取締役(左二人目)と東門美津子沖縄市長(左)ら

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