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Jを目指せ! by 木次成夫

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273回 JFL後期7節 ジェフリザーブズ対ツエーゲン金沢
by 木次成夫

去る12日、JFLはジェフリザーブズの『退会』を発表しました。ジェフリザは17位(9月12日時点)。『退会』とは、降格に相当する順位になっても、地域リーグ(ジェフリザの場合は関東1部)に降格しないということです。過去には『退会』後、県リーグからリスタートした例がありますが、ジェフリザは活動終了。つまり、チーム解散です。

実は以前から『退会』は噂になっていました。理由は単純。プロ育成組織として、十分な成果を残せていなかったからです。ただ、セカンド・チーム整備自体は有意義な試みだったと思います。チャンスがあれば、再挑戦に期待したいほど――。

・Jリーガーだけでなく、ユース所属選手もJFLで起用。年間34試合の全国リーグは貴重な経験(09年まで)。
・アマチュア選手に、プロを目指すチャンスを提供して、プロが指導。
・指導者育成の場としての役割
・県内各地で試合を開催して、サッカー普及活動。
・「Jリーグ+JFL+なでしこ(女子)」は、“ジェフならでは”の楽しみ。

では、なぜ、このタイミングで『退会』なのか? 

昨年の国体(国民体育大会)が千葉県開催だったことも関係しています。地元開催で好成績を残したい国体関係者にとって、千葉県選抜チームの主流であるジェフリザは重要な存在でした。そして、ジェフも地域貢献の一環として協力。つまり、地元国体後が『潮時』だったわけです。

●9月11日 JFL後期7節
ジェフリザーブズ 0-2 ツエーゲン金沢

[得点経過]
14分 0-1(得点:MF山道雅大、25歳、前・大阪体育大学)
88分 0-2(得点:FW石舘靖樹、26歳=今季加入、前・栃木ウーヴァ)

[試合総括]
前半はツエーゲンの良さ、後半はツエーゲンの課題が見えた試合でした。序盤からツエーゲンは、スピーディなパスワークでジェフを圧倒。中盤でリズムを作ることで、FW石舘らのスピードも活きました。

質が高いサッカーが実践できたのは、ボランチ・コンビが機能したことが、大きな要因です。本田真吾(23歳=今季加入、前・松本山雅)の素早いボール捌きと、山道の豊富な運動量と攻撃センス。お互いに持ち味を活かしあう、絶妙の役割分担でした。

≪シュート本数≫
ジェフリザ:7本(後半のみ)
ツエーゲン:10本(前後半各5本)

しかし、後半、ツエーゲンは停滞。ジェフリザが引き気味に修正したため、攻めあぐみ、パスワークも単調に――。相変わらず、課題は『遅攻』です。

[JFL後期7節終了時点の順位(上位9チーム)]
1位:SAGAWA SHIGA(勝ち点40、20試合)
2位:長野パルセイロ(36、19試合)
3位:ツエーゲン金沢(34、20試合)
4位:V・ファーレン長崎(33、20試合)=Jリーグ準加盟
5位:町田ゼルビア(32、19試合)=Jリーグ準加盟
6位:琉球(32、20試合)
7位:Honda(31、19試合)
8位:山雅(30、20試合)=Jリーグ準加盟
9位:カマタマーレ讃岐(30、19試合)=Jリーグ準加盟

[ジェフリザの意地]
選手たちには退会申請(8月3日付け)に先立って、事情が伝えられていたようです。そして、その後は“まるで別のチーム”かのように健闘しています。

7月30日(後期5節):3-1 MIOびわこ草津
8月7日(後期6節):2-0 琉球
8月11日(前期4節):3-1 SAGAWA SHIGA
8月31日(前期5節):1-1 カマタマーレ讃岐

MIO戦が今季初勝利。ツエーゲン戦も後半の粘りは見事でした。今後は、V・ファーレンとの2試合他、上位勢との対戦も残しています。つまり、ジェフリザがJリーグ昇格圏内(4位以内)争いを左右するかもしれません。

[ツエーゲン流チーム熟成]
ツエーゲンは北信越1部3位に終わった08年シーズン後、大リストラを敢行しました。その結果、多くの主力がチームを離脱。しかし、上野展裕監督が就任した09年シーズン以降、チーム作りにブレがありません。

JFL昇格1年目の昨季は9位。今季は現在3位と大健闘。大補強する資金もないのでしょうが、チーム全体として、前年度をベースに着実な積み上げをしてきています。例えば、以下の5人(ジェフリザ戦スタメン4人、サブ1人)は加入3シーズン目。つまり、地域リーグも経験しています。

CB=主将:諸江健太(26歳、前・刈谷)
ボランチ:山道雅大
左SB:斎藤雄大(25歳、前・国士舘大学)
左MF:古部健太(25歳、前・横浜Fマリノス。09年は期限付き移籍、10年に完全移籍)
サブDF:込山和樹(24歳、前・大阪体育大学←星稜高校=本田圭佑と同級生)

スタメン平均年齢は24、5歳。ちなみに加入2年目の“元日本代表”FW久保竜彦(35歳、前・横浜FC)は78分に交代出場。ダイナミックなプレータイルは相変わらず貴重です。

問題は人気面で低迷していること。地元新聞がスポンサーなっているにもかかわらず、この試合の取材に訪れた石川県のメディアはゼロ。サポーター(ファン)は、せいぜい数10人。同じ市原臨海競技場で開催された09年の全社(全国社会人選手権)当時と比べて、大して変わっていないという印象でした。

金沢といえば、2014年に東京発の新幹線が開通予定。『首都圏と近くなる→楽しくなる』シンボルのひとつとして、県や市が率先してツエーゲンを支援する策もアリだと思うのですが……。

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