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テセ通信:次なる夢に向かって(11-12編) by 鄭大世

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ハットトリック!!!乾とのアベックゴールも実現!
by 鄭大世

『テセ通信-次なる夢に向かって-』(11-12編vol.4=10月3日)

川崎Fからドイツ2部のボーフムに移籍した北朝鮮代表FW鄭大世選手のコラム『テセ通信-次なる夢に向かって-』。川崎からドイツ、そして世界へ。リーグ戦の奮戦記を中心に、鄭大世選手の“想い”をお伝えします。


●10月1日
インゴルシュタット戦(アウェー)

 ブンデスリーガ2部は1日に第10節を行い、ボーフムはアウェーでインゴルシュタットと対戦し、5-3で勝利を収めた。北朝鮮代表FW鄭大世は1トップで4試合連続スタメン。0-2の前半37分に今季初ゴールを決め、一気にリズムに乗る。後半16分、同42分にもゴールを決め、ハットトリックを成し遂げた。MF乾貴士も1ゴール1アシストと元J戦士コンビが大活躍し、2連勝で13位に浮上した。鄭大世は一旦チームを離れ、11日のW杯予選・ウズベキスタン戦(平壌)に挑む。

以下、鄭大世コラム

 インゴルシュタット戦。俺は相当、気合が入っていました。前節、チームはなんとか連敗を脱出し、波に乗るってところでしたが、俺自身は3試合連続でスタメンで出てるにも関わらず、結果が出せずにいまいちチームの勝利に貢献できてない状況でした。

 FWは他のポジションとは違ってチームが勝っても、自分がゴールを取れなければレギュラー確保は難しいです。FWは他のプレーがイマイチでも、ゴールさえ取れれば出続けられるし、ゴールを取らなければ交代です。

 前監督のことから、常にその焦りと不安を感じながら戦い続け、ドイツに来てからは気の休まる日はありませんでした。特に今年3月に決めたゴール以降、怪我もあったりして、心が休まった日は1日たりともありませんでした。日本帰っても遊ぶ気にもなれず、やはり本職がうまくいってこそのプライベートの充実なんですよね。

 そんな自分は、毎日寝る前も不甲斐無い自分、目が覚めても不甲斐無い自分と思ってしまって……。本当に毎日がストレスとの戦いでした。

 インゴルシュタット戦を振り返ると、前半20分ですでに2失点と厳しい立ち上がりになりましたが、思い切って打ったミドルで流れを変えることが出来ました。今季、内視鏡検査で出遅れて今だゴールの無い俺でしたが、前半36分にPA外左から思い切って左足でシュート。今までの重すぎるプレッシャーとは違い、軽やかにゴールに吸い込まれていきました。

 ゴールできないときからずっと考えていたのは0と1じゃ大きな違いだということ。でも1点取れば、また本来の感覚が戻ってくると確信してました。そう思い込んでいたからこそ、なおさら今季初ゴールが決まってすべての足枷が外れて楽になりました。

 そこからはすでにゲキサカニュースなどで皆さんがご存知の通りです。溜まりに溜まったものが溢れ出すかのようなハットトリックを達成できました。それに1アシストもつき1-3から気持ちよくひっくり返し、5-3の逆転勝利! これで肩の荷がおりたので、これからはゴール量産体制に入りたいと思います。

 そしてなんと言っても乾と俺のアベックゴールがようやく実現した事がなによりも嬉しいです。完全に俺と乾で“2トップ”のような布陣となって、監督からゴールを求められてたので、お互い結果が出たことに一安心です。心に平穏が少しだけ訪れました。

 自信も取り戻した事で、代表でも堂々と試合ができそうです。W杯予選もこの勢いで、勝ち点3を取りたいと思います。やはりFWはゴールが一番、すべてを解決してくれますね。これで少しボーフムの街を胸はって歩けます(笑)。まだ13位ですが、1部昇格に向けて乾と共に頑張ります。これから連勝するぞー!!!

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