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スペインで戦うフットサル選手・荒牧太郎の挑戦 by 荒牧太郎

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スペインと日本のオフ
by 荒牧太郎

 今スペインはセマナサンタというイースター休暇中です。スペインは80%以上がカトリック教徒なので、このキリストの復活祭に先立つ一週間は聖週間としてお休みになります。詳しいことは分かりませんが、宗教的にはクリスマスより重視されるという見方もあるようで、それに伴ってスペイン全体が、がっつりオフになります。僕らもリーグ戦真っ只中にもかかわらず、週末にはリーグ戦もなく、チームの練習もオフになります。

 このオフの捉え方もスペインと日本では結構違った捉え方だなと僕は感じています。というのは、スペインではオフならオフで休む時にはとにかく休む。という習慣があると思います。

 日本では『オフを返上して』とか、『居残り練習で』とか、みんなが休んでいる間に練習することを良しとする習慣があるように思いますが、スペインではあまりそういう習慣がありません。逆を言えば、オフ返上とか居残りで練習している人を評価する傾向が日本にはありませんか? 残業している人がいると帰りにくいというのは、そういう習慣から来るのかなと思ったりもするのですが…。

 一概に言えないことですが、日本のその様な習慣は、ダラダラ時間だけを費やした練習を生む可能性があると思います。2時間なら2時間、集中して練習に取り組めば十分というわけではありませんが、その後、更に2時間も練習したとなるとクオリティーは下がってしまう可能性もあります。かつて名古屋グランパスを率いて、現在はアーセナルで指揮を執るベンゲル監督は居残り練習を禁止していると聞いたことがあります。それには、質を保つという狙いがあるのではないかと思っています。

 居残り練習などをしない分、全体練習の中での質が凄く上がるというメリットを僕は感じています。スペインと日本の違いの一つに練習で入るスイッチがあります。練習前は談笑していても、練習が始まった途端にスイッチが入って、試合さながらの激しさで練習をします。「練習は試合のように…」とはよく言ったもので、やはり練習の質が高いチームは強いチームだと言えると思います。練習で全力を出す分、居残り練習をする必要がない。そういうことなんだと思っています。

 ただ、僕個人の話をすれば、全体練習だけで十分とは言いきれません。チームが休みでもトレーニングはしています(笑)。それは僕が必要だと感じているからで、みんなと同じように練習しているだけでは、目標としているところにたどり着けないと思っているからです。それは自分の目指している場所に対して、自分の身体、練習の回数や強度、試合日程などを考慮して決めています。誰かに見られているからとかではもちろんなく、必要なことをやっているだけです。

 でも、スペインに来てから練習で全て発揮する感覚、スイッチを入れる感覚を得られたと思いますし、オフは思い切ってフットサルから離れる大切さも感じています。やはりリーグ終盤には様々なストレスが溜まっているのも事実ですし…。

 なので、スペインと日本、どちらの文化や習慣も知っている僕は、自分に合った良いものだけを両方から取り入れて、日々生活しています。一つのものだけを見るのではなくて、比べることで良い部分と悪い部分両方に気付くことが出来ると思います。

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