ボールは丸い。丸いボールに集まった数々の奇跡にありがとう。
by 呉田幸子
by 呉田幸子
こちらには自分自身の感じたことを書かせていただきます。女子部で1年、男子部マネージャーで3年。ソッカー部で走り続けてきた日が終わりました。
人数の少なかった時代から、逆にマネージャーが多くまとめるのに苦労した時まで、どうすればチームの為になれるか考え続けてきました。
マネージャーに成りたての頃、体育会寮の管理人のおじさんに言われたことがあります。「扇子の根元」になりなさい。
扇子の根元にある、全ての骨を留めてある部分のことです。扇子の骨を開かせるのに大事です。1つひとつをしっかりと開かせ、美しい扇子として機能するようにするのです。1人ひとりが活躍できるようにサポートし、チームとして成功することです。決して目立つものではないけど、それがなければ扇子自体が成り立たないのです。
父が追加で言ってくれた「ゆっくり開かなければ壊れてしまうよ」という言葉を忘れず、地道に、美しい扇子を開けるようにやってきました。
真っ先に思い浮かぶ存在でなくてもいいけれど、あの時に救われた、もう一歩頑張る為に背中を押してくれた、そんな存在になれていたら嬉しいです。
最後の試合は、全てのことをしみじみと噛みしめながら仕事をしました。ドリンクを作るのも、バナナやゼリーを配るのも最後だな、と思いながらやっていました。
11月の試合では、ある選手のお母様が箱根神社から持ってきたご利益のある湧き水「龍神水」を出していました。この水を飲んでから連続得点中という選手もいました。
たつのこの試合会場で、ある大学の監督が「その水はなに?」と不思議そうな顔をして私に話しかけてきました。「箱根神社の湧き水です。もう神頼みなんですよ。」と苦笑いした私に、「ははは。きっと大丈夫だよ。」と笑ってくれました。
肩の荷が下り、きっと大丈夫と思えた瞬間でした。
マネージャーとして大切にしてきたのは、奇跡的な運命を大切にするということです。奇跡的な運命とは、素敵な出会いや奇遇な状況のことです。そこら中に転がっています。
選手、OB、ファンの方などの出会いはもちろん、自分が慶應に入りこのソッカー部に存在し彼らと1つの夢を追っていたこともそうだし、1つひとつの試合会場や時間、天候、背水の陣という危機や勝利すれば…というチャンスもそうです。
その奇跡的な運命を大切にし、感謝し、最大限に楽しむことです。受け身になって生きているというわけではありません。その運命についてとことん考えます。そうすれば、どうしたらいいかだんだんわかってきます。しっかり向き合って、楽しんで頑張れば、未来も自分の手で変えることができると思います。
手を合わせて祈りながら、心臓をばくばくさせながら試合を観るのはもうごめんだね、と試合後には思いました。が、ピリピリするような勝負の世界はもう味わえないとなると寂しいです。
私には頼もしいマネージャーの後輩が沢山いるので、ソッカー部は大丈夫です。これからもサポートお願い致します。
幸せなソッカー生活でした。ここに入ったことに間違いはありませんでした。全てに感謝したいと思います。
本当に本当にありがとうございました。
呉田幸子