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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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清水アカデミー「教えすぎない」ことの大切さ
by 長谷川望

 日本のサッカー王国と呼ばれる静岡県。三浦知良選手(横浜FC)、小野伸二選手(コンサドーレ札幌)、長谷部誠選手(フランクフルト)、内田篤人選手(シャルケ)など、数々の選手が静岡県から輩出されています。

 今回はそんな静岡県が誇るJクラブ、清水エスパルスユースの平岡宏章監督に話を伺いました。清水のアカデミーは、昨年のAFC U-16選手権やAFC U-19選手権の代表メンバーに選出されるなど将来が期待される選手たちが所属しています。

「まずはトップチームだが将来世界で活躍できる選手を育てていきたい。同時に、誰にでも愛される選手になってほしいので、サッカーを通じて人間力を高めていきたい」と話す平岡監督は、自身もサッカー選手として清水でプレーし、現役引退後、アルビレックス新潟で指導者として活躍。2011年に若手を育成すべく清水に帰ってきました。

 自身の頃と比べて育成環境の違いをどのように感じているのでしょうか。「私たちの時代は、サッカーを指導してもらったという経験はほとんどなく、自分たちで考えてやることが多かった。今はいろいろな情報が入ってくるが、教えすぎないで導けるように、取り組んでいる」。

 サッカー王国として全盛期のころ、静岡県の高校サッカーといえばスタジアムは5万人もの人が集まり、それでも入れない人たちがいたと言います。清水出身の平岡監督は当時を知っているからこそ「教えすぎない」指導で、考えるチカラを壊さないことが大切なのだと感じているのでしょう。

「難しいのは、伝えすぎないで伝えること。私自身言いすぎてしまうところがあるので、選手が委縮しないように、上手くやらなければいけない」。十人十色の選手たちを接する指導者にとってそれは言うは易く行うは難しであり、デリケートな部分なのだと感じました。

 現代では様々な指導法や哲学があります。しかしピッチのなかでは、自分自身の判断がすべてとなります。恵まれた環境だからこそ、平岡監督が言うように、考える能力を養うことは、今後のテーマとして挙げられるのではないでしょうか。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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