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Jを目指せ! by 木次成夫

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第79回 北信越5節 ツエーゲン金沢「5連勝」で首位!
by 木次成夫

昨季のツエーゲンは相対的に能力の高い選手が揃っていたものの、大事な場面で集中力を欠くなど、勝負弱さが難点でした。

リーグ4位。優勝した松本山雅との勝ち点差、4。全国社会人選手権は2回戦で横浜スポーツ&カルチャークラブ(関東1部)に“まさかの”敗退。その一方で天皇杯はロッソ熊本(07年当時現ロアッソ=JFL)、FC刈谷(JFL)を破って3回戦に進出する大健闘。J2水戸に0-1で敗れたものの、「途中で気を抜かなければ勝てた試合だった」(クラブ関係者)とか。

今季も主力は昨季同様ですが、要所に好選手を補強した策が功を奏しています。池田司信監督、あるいはスーパーバイザーの宮澤ミシェル氏らの“狙い通り”だと思います。大補強した結果、苦戦し、その上、主軸のCB2人をケガで欠く事態に陥った山雅とは対照的です。

●北信越リーグ
5節、5月25日
松本山雅FC 0-3 ツエーゲン金沢
長野パルセイロ 1-1ジャパン・サッカーカレッジ
フェルヴォローザ石川・白山FC 0-3 サウルコス福井
ヴァリンテ富山 3-2 グランセナ新潟

順位
1位=ツエーゲン 勝ち点15(5勝)
2位=パルセイロ 同13(4勝1分け)
3位=ジャパンSC 同10(3勝1敗1分け)
4位=山雅 同8(2勝1敗2分け)
5位=サウルコス 同4(1勝3敗1分け、得失点差-5)
6位=グランセナ 同4(1勝1分け3敗、得失点差-6)
7位=ヴァリエンテ 同3(1勝4敗)
8位=フェルヴォ 同0(5敗)

山雅戦のツエーゲン・スタメンは以下の通り。

GK関 光太(25歳、前・大阪体育大学)
右SB大河内英樹(22歳、前・仙台)
CB上田常幸(22歳、前・札幌)
CB中尾真那(21歳、今季加入=前・広島)
左SB辻田真輝(23歳、前・大宮)
右MF米山大輔(26歳、前C・大阪)
ボランチ権東勇介(25歳、前・札幌)
ボランチ山田智也(28歳、今季加入=前・栃木)
左MF木村龍朗(23歳、前・広島)
FW奈良安剛(25歳、前・山雅、元・札幌など)
FW吉田智尚(24歳、前・大分)

23分 1-0
 大河内(CK→ヘッド)
59分 2-0
 木村(華麗なミドルシュート)
67分 3-0
権東(中尾のロングスロー→ヘッド)

特徴的なのは、昨季は中盤でプレーした奈良と吉田がFWで起用されている点。安定感のあるボランチを基点に、シンプルかつスピーディな攻撃をしかけるのが、今年のツエーゲン・スタイルです。中でも木村、奈良、吉田の断続的なドリブルは破壊力抜群。対戦相手からすると、“シンプルゆえに対応策もとりやすい”はずですが、この試合のツエーゲンはチーム全体として、スタミナも際立っていました。昼間練習に移行した成果が出たということでしょう。山雅も昼間練習ですが、完全に“走り負け”。アタックへの対応で疲れ果てた末に集中力を欠いて、失点。スタミナだけの問題ではなく、走ることを含めたプレー全体の“迷い”も敗因だと感じました。

ちなみに、昨季の主力をベースにしている点は現在2位の長野パルセイロも同様です。昨季2位のジャパンSCを含め、全国地域リーグ決勝大会出場枠「1チーム」をかけた熾烈な争いは、今季も日本随一。では、果たして、ツエーゲンは今後も好調を維持できるでしょうか。ほぼ固定メンバーで戦っている上に、“2大エース”、つまり木村と奈良がキレまくっているゆえに、怪我が心配です。言い方をかえると、FW永井健太(26歳、今季加入=前・栃木)らバックアップメンバーの頑張りが重要になるということですが……。

ところで、今年の全国地域リーグ決勝大会は多くのクラブ、そしてファンにとって日程的にも遠征経費にも、過酷です。

予選ラウンド11月22日(金)~24日(月)
▼福岡県北九州市(JFLニューウェーブ北九州=以下NW=のホーム)
▼高知県高知市(四国リーグ南国高知FCのホーム)
▼鳥取県鳥取市(JFLガイナーレ鳥取のホーム)

決勝ラウンド11月28日(金)~30日(日)
▼沖縄県石垣市、サッカーパークあかんま

例えば、東京(羽田)から石垣島までは普通運賃で往復10万円以上かかります。例えば、選手とスタッフ合計20人が移動すると、200万円以上。予選ラウンド敗退の可能性を考慮すれば、いわゆる“早割”運賃で買うわけにもいきません。ちなみに、ツエーゲンは昨季、大分で開催された全国社会人選手権に参加する際、飛行機ではなく、陸路とフェリーで移動しました。

そもそも、今大会の予選ラウンド開催地は西日本に偏っているため、東北、北海道など遠隔地のチームは移動が大変です。選手のコンディションを考慮すれば、予選ラウンド後に地元に戻らずに石垣島に向かったほうがベターですが、普段は仕事をしている「アマチュア選手」は休暇を“余分に”とらざるをえません。

Jリーグは「100年構想」の一環として「JFLへの登竜門」である大会を、“より”多くのファンが訪れる配慮をして“しかるべき”だと思います。絶対的な実力ではなく、相対的な「試合の攻防」に魅力を感じるファンが増えてこそ、サッカー文化が成熟するということではないでしょうか?  

Jを目指すクラブの動向
●東北リーグ1部
(25日)
塩釜FCヴィーゼ 2-5 グルージャ盛岡(昨季優勝) 
FC秋田カンビアーレ(今季昇格)2-1 ビアンコーネ福島(今季昇格)
*首位は3勝0敗のNECトーキン。グルージャは2勝1分け(1試合未消化)。ビアンコーネは1勝3敗で8チーム中7位

●東北リーグ2部南ブロック
(5節、25日)
七ヶ浜FC 1-8 福島ユナイテッドFC(昨季2位) 
*福島ユナイテッドは、旧・ペラーダ福島(昨季2位)=開幕5連勝=首位

●北信越リーグ2部
(5節、25日)
新潟経営大学 2-1アンテロープ塩尻 
*アンテ4勝1敗

●関西リーグ
(7節、24日)
バンディオンセ加古川(昨季優勝)3-1  アイン食品 
*バンディ7連勝=首位で前期終了

●中国リーグ
(7節、25日)
デッツォーラ島根 1-0マツダSC 
レノファ山口 2-1 広島フジタ
*島根は、旧・セントラル中国。首位=レノファ(勝ち点17=5勝2分け)。島根は4位(勝ち点11)

●九州リーグ
(7節、25日)
V・ファーレン長崎 1-1(PK4-3)新日鐵大分 
ホンダロック 4-2 ヴォルカ鹿児島
OSUMI NIFS  0-2 ヴァンクール熊本 
沖縄かりゆしFC 3-1 九州INAX 
三菱重工長崎 1-3 海邦銀行SC
*ホンダロック7連勝で単独首位(勝ち点21)。V・ファーレンは5勝1PK勝1PK敗(勝ち点18)で2位

<写真説明>ツエーゲンのエース、木村龍朗(23歳、3年目=前・広島)

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※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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