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ベンゼマ、C・ロナウドからも学ぶ浦和FW松尾佑介がチーム最多ACL6点目「少しずつ自分のものになってきている感覚」

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浦和レッズFW松尾佑介

[8.25 ACL準決勝 浦和 2-2(PK3-1) 全北現代 埼玉]

 激闘の幕開けを告げる浦和レッズの先制点を奪ったのは、ストライカー起用が続いているFW松尾佑介だった。決勝トーナメント3連戦の過去2試合は“引き立て”役としての活躍が目立っていたが、この日は「今日はよりゴールにフォーカスしてプレーしていた」と結果で存在をアピール。ACLではチームトップの6得点目で、名実ともに決勝進出の立役者となった。

 一発勝負の準決勝の前半11分、松尾はスローインのクイックリスタートから右サイドを突破したDF酒井宏樹に合わせてゴール前に飛び込んだ。「ディフェンスの後ろで受けようか迷ったけど、宏樹くんならニアに速いボールが来るんじゃないかと思って信じて入った」。想定どおりニアサイドに入ってきたボールにワンタッチで合わせ、先制のゴールネットを揺らした。

 準々決勝のパトゥム・U戦では、前半開始早々にDF岩波拓也のロングフィードに抜け出し、快足を活かしてゴールに迫ったが、VARの介入によりハンドが認められてノーゴール。また先制点の場面ではMF関根貴大からのパスをスルーしたことでFWダヴィド・モーベルグのゴールにつながるも、ボールに触れていないためアシストはつかず、貢献度のわりに個人記録から遠ざかっていた。

 それでもこの日は、ストライカーらしい動き出しで見事に結果を残し、決勝進出に大きく貢献。「本当はもう1点早い時間帯に取れたらもう少し楽な展開になったけど、相手がいいチームなので簡単じゃなかった。勝利が手繰り寄せられてよかった」と喜びを語った。

 グループステージではライオン・シティ・セーラーズから計3ゴール、山東泰山から2ゴールを奪っており、これで今大会チームトップの6ゴール目。東地区では最も多い大邱FCのFWゼカに1点差に迫っている。それでも松尾は「あんまり感じていない」と冷静。「毎試合ゴールを決めたいし、何ゴール決めていても次の試合に決めないと一瞬で僕の存在価値がなくなる可能性もある。常に焦燥感とともにゴールを狙い続けたい」とゴールへの欲求を力強く語る。

 横浜FC時代はドリブルと推進力を活かしたサイドアタッカータイプだったが、浦和ではストライカーとしての素質が開花。近頃は「いろんな選手の動画を見たりして勉強している」といい、求めようとしている“FWらしさ”が成果として出てきているという。

「今まで見たことのない1トップの選手、ベンゼマとかクリロナ(クリスティアーノ・ロナウド)とかの動画を見始めたので、俺もFWみたいになってきたなって感じですね」。自身の変化をサラリと話した松尾は「それが少しずつ自分のものになってきている感覚がある。この感覚を忘れないうちに試合数を増やせていけたら」とさらなる向上心ものぞかせた。

 加えて「存在感を出すのも大事だけど、試合中に消えて一瞬で仕事をするというのも大事」とさらにストライカー色の強いプレーにも意欲を見せる松尾。そこでのお手本は自身との交代で出ることの多いチームメートのFWキャスパー・ユンカー。「ユンカー選手のプレーを見て学ぶことがたくさんある」という25歳は「ああいうふうに一瞬で仕事をするのも大事。動き出しも勉強になるし、さらに自分のものにしていけたら」とまだまだ探究を続けていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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