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[MOM3543]名古屋U-18FW真鍋隼虎(3年)_「隼のように速く、虎のように強く」。本格派ストライカーが圧巻の2ゴール!

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圧巻のゴールを挙げて喜ぶ名古屋グランパスU-18のエース、FW真鍋隼虎

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 日本クラブユース選手権U-18大会準決勝 浦和ユース 1-2(延長) 名古屋U-18 正田醬油スタジアム群馬]

 チームにスイッチを入れる前線からのプレスも、グラウンドマネージャーとしてグループをまとめる役割も、大事なことは重々承知している。その上で、自分の最も果たすべき仕事は、常に最優先事項として携えている。「フォワードである以上、得点を獲ることが一番アピールできますし、自分の価値を高められるので、ゴールが一番だと思っています」。名古屋グランパスU-18の絶対的ストライカー。FW真鍋隼虎(3年=高槻FCジュニアユース出身)はいつだって、ゴールという獲物に飢えている。

 ファイナル進出を巡る準決勝。勢いに乗る浦和レッズユースとの一戦は、さながら“真鍋ショー”だった。まずは先制点。前半32分。相棒の右SB葉山新之輔(3年)が丁寧に上げたクロスに、身体は流れながらもきっちり頭に当てたボールが、ゆっくりと右スミのゴールネットへ吸い込まれる。

「新之輔に入った時に、練習から自分のことを絶対に見てくれるので、来ると思いました。相手のマークはいましたけど、そこをうまく外して、難しいヘディングを決められて良かったです。当たった瞬間に軌道は見えて、入ったのがわかりましたし、届かないと思ったんですけど、諦めずに当てられましたね」。

 そして、決勝点。延長前半10+4分。MF鈴木陽人(1年)からFW貴田遼河(1年)がボールを受けると、巧みな動き出しから真鍋は大外でまったくのフリーとなる。

「中がごちゃごちゃってなっている時に、大きなスペースを見つけて、そこにいたら『ボールが来るかな』と思ったので、そこで遼河がよく見てくれて、パスを出してくれたので決めるだけでした」。

 まさに経験に裏打ちされたポジショニングと、ゴールの欲しい局面でしっかり獲り切れる鋭い得点感覚。得点ランキングトップに並ぶ大会6点目は、チームを決勝へと連れていく重要な一撃。「延長にもつれ込んでしまって、追い付かれた形で相手の勢いがあったんですけど、その中でも自分たちのやることをブラさずに、という話をして試合に入り直して、そこで自分にチャンスが回ってきたので、思い切り振り抜こうという形で、うまく入って良かったです」。ストライカーとしてはこれ以上ない最高の結果で、日本一へ王手を懸けた。

 前述した守備の献身性とリーダーシップも、もちろん折り紙付き。「彼が一番走れる選手ですし、戦える選手でもあるので、期待に違わぬプレーを見せて、リーダーとしてチームを引っ張ってくれたと思います。トレーニングの空気が緩んだり、甘くなったりした時には厳しい声を掛けたり、チームがやろうとしていること、大切にしていることを、彼がグラウンドマネージャーという形で、落とし込んでいくと。そういう部分を一番体現してくれているので、チームの中でも信頼の厚い選手です」。古賀聡監督も評価を口にするグラウンドマネージャー=ゲームキャプテンは、究極のチームプレーヤーでもある。

 この大会の決勝には大きな心残りがある。2年前。サガン鳥栖U-18を倒して、日本一を勝ち獲った試合で、ともにベンチに入っていた同じ1年生のMF甲田英將とFW松本皐誠は優勝のピッチに交代で解き放たれたものの、真鍋の名前は最後までベンチから呼ばれることはなかった。

「2年前は全国優勝できたんですけど、正直悔しい想いの方が強かったですし、まだ自分の力で日本一になったことがないので、今回は絶対に負けられないですね。このチャンスで自分が点を獲ってチームを勝たせて、日本一になって、金メダルをもらいたいです」。今回こそは、オレがやってやる。自分の中でイメージは十分に膨らんでいる。

 改めて決勝への抱負を口にする姿から、強い決意が滲む。「この大会が始まる前も、始まってからも、全員が口を揃えて『頂点奪還』ということは掲げていますし、その気持ちは本当に強いので、ひとまずファイナルに進めたことは良かったですけど、ファイナルに勝つことが自分たちの目指していることなので、謙虚な気持ちを忘れずにやっていきたいです」。

『隼のように速く、虎のように強く』という勇壮な名前を付けられたアタッカー。隼より速く、虎より獰猛に。真鍋がゴールを捕獲すれば、その時、名古屋U-18の頭上にはきっと黄金のカップが輝いている。

(取材・文 土屋雅史)
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