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背負った”12番”は重ね続ける努力の証。名古屋U-18DF葉山新之輔の「MVP宣言」

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右サイドの仕事人は努力の男。名古屋グランパスU-18DF葉山新之輔

[8.2 日本クラブユース選手権U-18大会準決勝 浦和ユース 1-2(延長) 名古屋U-18 正田醬油スタジアム群馬]

 右サイドを真摯に上下動し続けられる献身性が際立つが、それだけだと思ってもらっては困る。精度の高いクロスも、何ならゴールだって奪いに行く積極性も、併せ持っているのがこの男の本性だ。野心だって、十分にその心の中に秘めている。「決勝も自分がチームを勝たせるプレーをして、MVPを狙っていきたいと思います(笑)」。堂々のMVP宣言。名古屋グランパスU-18の右サイドバック。DF葉山新之輔(3年=名古屋グランパスU-15出身)のプレーから、目が離せない。

 準決勝の浦和レッズユース戦。葉山は“結果”で自らの存在を強烈にアピールしてみせる。前半32分。自らが投げ入れたスローインの流れから、ドリブルで運んだMF甲田英將(3年)のバックパスが目の前に転がってくる。中央を見据えると、いつものアイツの姿を視界に捉える。

「隼虎しか中では見ていなかったので、良いところに飛んで良かったかなと思います。隼虎とは練習の中でも、試合前にも2人で練習していて、信頼関係もありますし、自分もクロスの練習は結構していたので、自信がありましたし、自分の武器をこういう舞台で出せたのが大きいかなと思います」。

 FW真鍋隼虎(3年)の先制ヘッドを華麗にアシスト。「凄く嬉しかったんですけど、隼虎のところまで走っていく力は残っていなくて、1人で喜んでいました。アレは自分のおかげです」。真剣な顔で突然繰り出すユーモアも微笑ましい。結果的に延長前半までの90分間を走り切り、後輩のDF小嶋健聖(2年)に後を託して交代。勝利の瞬間はベンチから見守った。

 自分の特徴と課題も的確に把握し、改善に取り組んでいるという。「自分としては運動量を武器にしている中で、そこからの攻撃参加も得意にしていて、クロスだったり、背後の抜け出しだったり、攻撃に強みを持っている中で、守備ももっとやらないといけないですし、攻守の切り替えだったり、味方を戻すところだったり、1対1の対応というところを、もっと磨いていかないと、この先にどんどんステージが上がっていく中で通用しなくなると思うので、自分の武器を伸ばしながら、ウィークももっと変えていきたいと思います」。紡いだ言葉に、真面目な性格が透けてみえる。

 右サイドバックのレギュラーでありながら、フィールドプレーヤーで“12番”という背番号は比較的珍しいが、その番号にはこだわりの想いが込められている。「普通に去年まで試合に関われなくて、ベンチに数回入っただけだったので、自分の力不足で一桁の背番号はもらえなかったんですけど、今年に入って責任や自覚が本当に増えてきて、もっとやらなきゃということでシーズンに入った時に、自分がリーダーとしてチームを引っ張っていきたいと思って、プレミアリーグで開幕からスタメンを勝ち獲ってきたんです」。

「だから、こだわりというか、最初は力不足で12番という番号をもらったんですけど、この“グランパスの12番”というのを、伝統の番号にできるようなサイドバックになっていきたいと思いますし、自分は努力してここまで這い上がってきた選手だと思っているので、本当にここで出られていることに満足せずに、もっともっと努力し続けて、もっと高いレベルでやっていきたいと思います」。

 日本一を目の前に、最後の1試合だからこそ、グランパスとしての意地を見せ付けてやろうという気概が頼もしい。「決勝も相手を圧倒して、自分たちのサッカーを出し続けて、自分たちのコンセプトである5-0で勝つという、グランパスとしてやってきていることを体現するために、チーム一丸となって戦っていきたいと思います」。

 “グランパスの12番”を日本一の右サイドバックの番号として、後輩たちへと継承していくため、葉山は正田醤油スタジアム群馬の芝生を、その足が動かなくなる瞬間まで、全力で走り続ける。

(取材・文 土屋雅史)
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