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ゴールこそ、すべて。名古屋U-18FW真鍋隼虎は大会7得点目を挙げて単独得点王に!

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単独得点王を手中に収めた名古屋グランパスU-18FW真鍋隼虎(10番)

[8.4 日本クラブユース選手権U-18大会決勝 札幌U-18 0-2 名古屋U-18 正田醬油スタジアム群馬]

 ボールとゴール以外は視界から消えた。無心で右足を振り抜くと、獲物を捕らえた虎は、全速力で仲間の元へ駆け出していく。「今から振り返ったら『全然簡単なゴールじゃないな』と思うんですけど、あそこに行った時には『絶対に振り抜いてやろう』という強い気持ちがあったので、シュートも良いコースに飛んでくれたのかなと思います」。結局、最後はこの男の独壇場。名古屋グランパスU-18の絶対的なエースストライカー。FW真鍋隼虎(3年=高槻FCジュニアユース出身)が日本一と得点王を隼のような鮮やかさで、さらっていった。

 苦しい40分間を強いられる。北海道コンサドーレ札幌U-18と対峙した決勝。予想外の相手のシステムにアジャストするのが遅れ、立ち上がりからペースを握られる。真鍋も前半で放ったシュートは1本のみ。終了間際の39分に完璧な浮き球のラストパスで、MF甲田英將(3年)の先制点をアシストしてみせたが、ストライカーがそれだけで納得するはずもない。

「前半は自分たちのサッカーができなくて、ハーフタイムに控室に戻って、全員で『もっとやろうぜ』『このままじゃ終われないぞ』という話をしましたし、個人としても点を獲っていなかったので、全然満足できない前半でした」。この男なら当然の感覚だ。

 後半はチームにも、真鍋にもスイッチが入る。5分。7分。15分。3度に渡って掴んだシュートチャンスは、いずれも相手GKのファインセーブに阻まれる。「試合前に同点で得点ランクトップというのは知っていて、『絶対に単独で得点王になってやる』というところは目標でした」。ここまでの大会得点数は6。あと1点。そのゴールが自身の得点王も、チームの日本一も手繰り寄せることは、言うまでもなく分かっていた。

 31分。左SB佐橋杜真(3年)、CB加藤玄(3年)、CB吉田温紀(3年)、右SB葉山新之輔(3年)とディフェンスライン全員で繋いだボールが、真鍋の足元へ入る。前方のスペースを確認すると、FW貴田遼河(1年)に預けて、一気にダッシュ。最高のラストパスが返ってくる。

 右足で振り切ったボールがゴールネットを揺らしたのを見届けてから、真鍋はチームメイトの待つピッチサイドに一目散。「もう言葉にできないぐらい嬉しかったです。応援して下さる方々には、自分は得点という結果で一番喜ばせることができると思っているので、本当に嬉しかったですね」。

 真鍋と熱い抱擁をかわした古賀聡監督も、「彼は今大会、本当にチームのお手本というか、あれだけ走って、前からプレッシャーを掛けて、アクションを起こしてくれて、やっぱり彼の言うことは説得力がありますし、今までも今日のあの形に何度も持ち込んで決勝ゴールを決めてきたので、それは本当に彼の努力の結晶かなと思っています」と賛辞を惜しまない。誰もが期待する結果を、きっちり出し続けるのがストライカーの仕事。準決勝後の宣言通り、日本一と得点王を手に入れた10番の笑顔が弾けた。

 グラウンドマネージャーとして、試合時にはキャプテンマークを巻く男の野心は、まだまだとどまる所を知らない。「試合が始まる前のミーティングで、『このメンバーで栄光を掴みたい』と誓って、古賀さんからも『このメンバーで伝説を創れ』ということは言われていました。そういう意味ではまだプレミアも残っていますし、まだこれでは伝説にも残らないですし、もう1個大事なタイトルがあるので、そこに全員で練習から切磋琢磨してやっていきたいです。まだまだ足りないです」。

 その上で自分のプレーヤーとしての矜持を、強い言葉に滲ませる。「これからも自分のゴールでチームを勝たせられる選手でありたいですし、そういうエースストライカーになることを目指して、見てくださる方に自分のプレーで感動を与えられる選手になっていきたいです」。

 ゴールこそ、すべて。真鍋の信念は揺るがない。

(取材・文 土屋雅史)
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