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“風間流”C大阪U-18がクラブユース制覇!! 延長死闘で横浜FMユースを3発撃破、“扇原世代”以来13年ぶり3度目V

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13年ぶり3度目の優勝を果たしたC大阪U-18

[8.3 クラブユース選手権決勝 C大阪U-18 3-1(延長) 横浜FMユース 正田スタ]

 日本クラブユース選手権(U-18)大会は3日、正田醤油スタジアムで決勝戦を行い、セレッソ大阪U-18横浜F・マリノスユースを延長戦の末に3-1で破り、13年ぶり3回目の優勝を果たした。高い技術を活かしたパスワークで序盤から圧倒し、先取点こそ奪われたが、セットプレーから決まったキャプテンDF川合陽(3年)の2ゴールで逆転。さらに延長戦の終盤にもダメ押しゴールを奪い、“風間流”の改革が進む若き桜の戦士が高校年代クラブユースの頂点に立った。

 C大阪U-18は準決勝で横浜FCユースを1-0で下し、DF扇原貴宏らを擁した2009年以来13年ぶりの決勝進出。風間八宏技術委員長を中心に進めてきた改革2年目でタイトルマッチまで辿り着いた。4-2-3-1のシステムでGK春名竜聖(3年)がゴールを守り、4バックは左からDF西川宙希(1年)、DF川合陽(3年)、DF白濱聡二郎(3年)、DF和田健士朗(3年)。ダブルボランチはMF伊藤翼(3年)とMF佐野泰生(1年)が組み、2列目は左からFW末谷誓梧(3年)、MF清水大翔(2年)、MF皿良立輝(2年)。1トップはFW金本毅騎(3年)が入った。

 対する横浜FMは準決勝で柏U-18と前半2-2の激闘を演じたが、ハーフタイムで落雷中止となり、抽選によってMF遠藤渓太らを擁した2015年以来7年ぶりの決勝進出。大熊裕司監督にとっては一昨季まで率いていたC大阪U-18との古巣対戦となった。システムは4-2-3-1のシステムでGK高橋太陽(3年)がゴールを守り、4バックは左からDF池田春汰(2年)、DF畑野優真(2年)、DF高橋謙豪(3年)、DF舩木大輔(2年)。ダブルボランチはMF島田春人(3年)とMF篠原佑岳(3年)が組み、2列目は左からMF白須健斗(1年)、MF望月耕平(1年)、MF松村晃助(3年)。1トップはFW内野航太郎(3年)が務めた。

 試合の立ち上がりはC大阪のペース。横浜FMのハイプレスを局面で次々とかわし、速攻で敵陣に攻め込むと、前半5分には清水を起点とした前進から末谷がカットインシュートを放った。だが、これは左のポストに弾かれる。一方の横浜FMはなんとかボールを奪っても、シンプルに裏に蹴り出す形が続き、なかなか良い形で攻撃を組み立てることができない。

 そうして迎えた前半10分、C大阪にまたしてもビッグチャンス。自陣でのボール奪取から西川、清水とつないでスルーパスに末谷が抜け出すと、GKとの1対1を迎えた。しかし、右足で放たれたシュートは高橋太がスーパーセーブ。こぼれ球を拾った金本のシュートも高橋太に阻まれると、さらに跳ね返りを拾った皿良の左足シュートもクロスバーに弾かれ、試合の均衡は保たれた。

 その後もC大阪がボールを握り続けたが、横浜FMは前半18分、中盤での球際を制した島田が味方につなぎ、前を向いた篠原が最終ライン裏にスルーパスを送ると、これに抜け出した松村が右足シュート。しかし、GK春名に正面で処理された。ところがこのセットプレーから一気に攻め込む横浜FM。すると同20分、セットプレーの流れから一気に押し込むと、篠原のクロスに飛び込んだ畑野が184cmの長身を活かしたヘディングシュートを叩き込み、先制点を奪った。

 ここで試合は1分間の飲水タイムが取られた。だが、その後もC大阪の流れは変わらず、最終ラインからの正確なパス回しで攻撃を組み立て、前半22分には清水のカットインシュートがGK高橋太を襲う。防戦一方の横浜FMは畑野、高橋謙のCBコンビを中心にシュートブロックでなんとか応戦。同32分、C大阪は左で作って右の皿良が刺しにかかったが、これも畑野のブロックに遭った。

 横浜FMは前半34分、立て続けにセットプレーで相手を押し込むと、こぼれ球に内野、松村、畑野、望月と次々に飛び込むが、これはC大阪守備陣に阻まれる。なおも攻め続けるC大阪は同40分、準決勝で決勝ゴールを挙げたCBの白濱が豪快な攻撃参加からゴール前に攻め込むも、後ろからボールをつつかれてシュートには至らず。ほぼC大阪は支配していた前半はそのまま横浜FMの1点リードで終わった。

 C大阪は後半開始時、再三の裏抜けを見せていた金本に代わってFW緒方夏暉(3年)を投入。緒方も相手CBに対してラインブレイクを試みるが、次々とオフサイドにかかってしまい、なかなかシュートチャンスまで持ち込めない。それでも同11分、ゴール正面の間で受けた皿良が舩木に倒されてFKを獲得。だが、皿良のキックは低い弾道でゴールに向かうも、GK高橋太に正面で処理された。

 なんとか試合を落ち着かせたい横浜FMは後半15分、ゴール正面で切り返した篠原が左足でミドルシュートを狙うが、GK春名に正面で防がれる。さらに同17分、内野が敵陣高い位置でボールを奪い、3対1の絶好機。だが、内野のパスを収めた松村のトラップが大きく流れ、シュートには持ち込めず、リードを広げる大チャンスを逸した。

 C大阪は後半20分、西川と佐野に代わってMF児島亜流(3年)とMF中山聡人(1年)を投入。疲れもあってやや出足が落ちる中、飲水タイム明けの同26分、速攻から清水がミドルシュートを狙うも、うまくミートできずにGK高橋大に阻まれる。一方、体力の落ちない横浜FMは松村が再三の突破を見せ、クロスに内野が飛び込む形を連発。同28分、C大阪はカウンターから緒方が抜け出すも、懸命に戻った高橋謙のスーパーブロックに阻まれた。

 C大阪は後半30分、セットプレーの流れから次々にハイボールをゴール前に放り込むも、畑野の吠えながらの空中戦に跳ね返される。それでも同33分、ついに横浜FMのゴールをこじ開けた。和田の左CKをニアで白濱がそらすと、ファーサイドの川合がボレーシュート。これは横浜FM守備陣にブロックされたが、跳ね返りを拾った川合が今度は強烈なシュートで叩き込み、土壇場で同点に追いついた。

 横浜FMは直後、最初の交代カードを切り、望月に代わってFW佐藤未来也(3年)を投入。それでもC大阪の攻勢が続き、後半アディショナルタイム1分には清水のミドルシュートがゴールわずか右上外を襲う。同アディショナルタイム3分、横浜FMは白須に代わってMF細川楓(3年)を投入。するとラストプレー、C大阪はカウンターから末谷が抜け出すも、投入されたばかりの細川がスライディングで阻む大仕事を見せ、そのままタイムアップを迎えた。

 延長戦は10分ハーフ。最初のチャンスは横浜FM、延長前半5分、細川のスルーパスに島田が抜け出し、ハイクロスに松村がヘディングで合わせたが、GK春名の正面を突いた。対するC大阪は同9分、自陣からのビルドアップで局面を打開し、末谷がカットインシュート。だが、DFに当たって軌道が変わったボールはGK高橋太がスーパーセーブを見せた。

 それでも横浜FMのクリアで生まれたCKからC大阪がスコアを動かした。延長前半9分、皿良の右CKがインスイングでファーサイドに向かうと、高い打点で合わせたのはまたしても川合。今度はヘディングシュートをファーポスト際に突き刺し、この日2ゴール目で逆転に成功した。

 ビハインドとなった横浜FMユースは延長後半3分、舩木に代わってDF三橋拓真(2年)を起用。C大阪も同4分、和田に代わってDF長野太亮(3年)を投入し、互いにタフさが問われる終盤の戦いに向けて攻守にエネルギーを加えた。

 横浜FMは延長後半5分、篠原の左CKから内野がゴール前に飛び込むも、ジャンピングヘッドはわずかに枠外。同7分、右サイドを突破したのクロスに島田が反応し、ワントラップからボレーで狙うも相手DFに阻まれた。さらに直後の左CK、篠原のキックに内野がまたも合わせるも枠外。するとC大阪はGKを起点にしたロングカウンターから皿良がラストパスを出すと、最後は中山がダメ押しゴールを奪った。

 C大阪は延長後半10分、皿良と末谷に代わってFW若野来成(3年)とFW櫻本拓夢(3年)、横浜FMは同アディショナルタイムに島田を下げてDF石井琉晟(3年)を投入したが、試合はそのままタイムアップ。延長戦で2ゴールを奪って3-1としたC大阪U-18が、13年ぶり3回目となるクラブユース制覇を果たした。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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