beacon

憲剛の最新本を立ち読み!「史上最高の中村憲剛」(7/20)

このエントリーをはてなブックマークに追加

 川崎フロンターレのMF中村憲剛の南アフリカW杯から現在までの5年半を描いた『残心』(飯尾篤史著、講談社刊)が4月16日に発売となった。発刊を記念しゲキサカ読者だけに書籍の一部を公開。発売日から20日間、毎朝7時30分に掲載していく。

コンフェデレーションズカップ、開戦<上>

<圭佑、決めろよ、マジで――>

 ベンチから身を乗り出した中村の視線は、ペナルティスポットに注がれていた。

 ボールをセットした本田圭佑は、そこから5メートルほど離れると、大きく深呼吸してから助走に入った。

 6万人を超すファン、サポーターが祈りを捧げるなか、左足から放たれた渾身の一撃が、ゴールど真ん中に突き刺さる。

 蹴った勢いそのままにゴール裏へと駆け出した本田に、長友佑都が、香川真司が、清武弘嗣が後ろから飛びついた。ベンチから飛び出した選手たちの中には、ガッツポーズを繰り返す者もいれば、ゴール裏まで走って歓喜の山に加わる者もいた。

 観客は総立ちで喜びを爆発させている。アディショナルタイムでようやく奪った同点ゴールに、スタジアムの熱狂は最高潮に達した。

 6月4日、埼玉で行われたワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦。

 この試合に1-1で引き分けた日本は勝ち点を14に伸ばし、1試合を残してブラジル・ワールドカップへの出場権を手に入れた。日本代表がホームでワールドカップ出場を決めるのは、初めてのことだった。

 2日後、日本代表はイラクとの最終戦を戦うため、カタールに向かった。政情不安を抱えるイラクはFIFAから試合会場の安全上の問題を指摘され、予選のホームゲームは初戦を除き、ドーハで開催していたのだ。

 6月11日、イラクを1-0で下し、有終の美を飾った日本は、予選を戦い終えた感傷に浸る間もなく、チャーター機でブラジルに飛んだ。6月15日に開幕するコンフェデレーションズカップに出場するためである。

(つづく)


<書籍概要>

■書名:残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日
■著者:飯尾篤史
■発行日:2016年4月16日(土)
■版型:四六判・324ページ
■価格:1500円(税別)
■発行元:講談社
■購入はこちら

▼これまでの作品は、コチラ!!
○第6回 妻からの鋭い指摘<下>

○第5回 妻からの鋭い指摘<上>

○第4回 浴びせられた厳しい質問<下>

○第3回 浴びせられた厳しい質問<上>

○第2回 待望のストライカー、加入<下>

○第1回 待望のストライカー、加入<上>

TOP