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[日本クラブユース選手権(U-18)]木村劇的V弾!「無冠の帝王」柏U-18がついに日本一!

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[8.4 日本クラブユース選手権(U-18)大会決勝 柏U-18 3-2横浜FMユース]

「無冠の帝王」がついに、汚名を返上して栄冠に輝いた。第36回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は4日にニッパツ三ツ沢球技場で決勝戦を行い、柏レイソルU-18(関東5)が3-2で横浜F・マリノスユース(関東4)を下して初優勝を果たした。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、主将の秋野央樹は喜びを爆発させながら全力疾走でベンチへ向かい、下平隆宏監督と抱き合った。「1年からこの大会に出ていて落ち着いていたし、(場の雰囲気に)慣れていた」(下平監督)と信任の厚い秋野は「自分は、ユースの1年目からシモさんに育ててもらっている。試合が終わったらシモさんに抱きつきに行こうと思ってた。昨年、一昨年と(惜しいところで)勝てなくて悲しい思いをさせたと思うので、今年は1位をプレゼントしたかった。胴上げしたときは本当に嬉しかった」とこみ上げる興奮を抑えながら話した。

 柏は例年、高い評価を受けるポゼッションサッカーで優勝候補の一角に名を連ねながらユース年代のタイトルには縁がなく、U-18チームにとっては悲願の初優勝。信頼と感謝の抱擁は、積年の思いの結晶だった。1次リーグでは連覇を狙った東京ヴェルディユースと同成績で並び、抽選の結果、決勝トーナメントの出場権を手に入れた。東京Vユースの冨樫剛一監督が先に封筒を開けたため、柏の下平監督は封を開けていない「当たりクジ」を今でも持っているという。自分の宝物にすると話した指揮官の願いは、ついにかなった。

 試合は前半から柏が優位に立ったが、横浜FMはしぶとかった。手堅い守備ブロックで押し込んでくる柏からボールを絡め取り、素早いカウンターで応戦。前半終了間際、ロングパスを受けたFW宇佐見康介がMF斎藤一磨とワンツーをする形で抜け出し、豪快な右足シュートをたたき込んで先制した。後半開始直後、柏は横浜FMの斎藤が出したバックパスをFW川島章示がさらってそのまま同点弾を決めたが、横浜FMは気落ちすることなく反撃し。8分、右からのクロスをファーサイドで受けたFW伊東海征がシュート。こぼれ球をオーバーラップした右DF福田圭佑が押し込んで再び勝ち越した。
「心が折れそうになった」(川島)一発を浴びた柏だったが、冷静さは失わず、持ち味であるボールコントロールの精度を高めて逆襲に出た。23分、左右のクロスで相手を振り回すと、右からのクロスをMF平久将土が頭で折り返し、ワントップの川島がヘディング弾を決めて2-2の同点。そして試合終了間際のアディショナルタイム、秋野の縦パスを受けた川島が得意のポストプレーでボールを前線に残し、こぼれ球を拾った途中出場のFW木村裕が相手と競り合いながら、渾身のシュートを突き刺した。木村はゴールを確認すると、そのままゴール裏のサポーターの下へ一直線。興奮のあまりスタンドに飛び込み警告を受けたが、このゴールは、勝利を決定付けた。

 試合終了の笛が鳴って秋野がベンチへ飛び込む頃、柏の出場選手や控え選手、そしてサポーターらからは大会直前の負傷で欠場を余儀なくされたGK中村航輔を呼ぶ声が飛び交うなど、喜ぶ様子にチーム一丸の姿勢が見て取れた。柏は今季、4つの目標を立てているという。日本クラブユース選手権の優勝、プリンスリーグ関東1部優勝、Jユースカップ優勝、そして天皇杯本戦出場と2回戦突破(シードのトップチームを破ること)。まずは、最初の目標をクリアした。秋野は「全タイトルを取れるとまでは思っていないですけど、それを目指すのが自分たちの宿命だし、目指さないのならピッチに立つ意味もないと思う。目標に少しでも近づけるように努力していきたい」と、次の目標へのリスタートを宣言。ギラギラした夏を越え、太陽王はさらなる輝きを放とうとしている。

(取材・文 平野貴也)

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