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危機感を募らせるF東京・DF森重「これがトーナメントなら、ここで敗退」

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[8.18 J1第22節 F東京 0-1 大宮 味スタ]

 内容は悪くない。しかし、結果が付いてこない。今季、J1に昇格したFC東京は、そんなジレンマを抱えている。この日の大宮アルディージャ戦も、シュート数では18対8と相手を押し込んだ。前半27分にはMF梶山陽平のシュートが、後半39分にもFW渡邉千真のシュートが、ゴールに向かって飛んだ。しかし、ゴールラインを割る寸前に大宮の守備にクリアーされている。結局、最後まで肝心のゴールを挙げることはできず、前回のホーム戦(新潟戦0-2)に続き、2試合連続ノーゴールで黒星を喫した。

「良かった点は、シュートを多く打てたこと」とMF石川直宏は振り返る。「攻撃に時間をかけると、中を固められるので、その前に多くシュートを打てたことは良かった。ただ、もう少し落ち着きも必要な場面もあったと思う。(梶山)陽平がシュートを打った場面でも、僕がどフリーになっていたことがあった。そういうところはパスをもらえるようにしないといけないと思う」と反省を述べた。

 DF高橋秀人は守備面での課題を口にする。「完璧に崩されたわけではない。ただ、少ないピンチをいかにタイトに守るか。そこを防がないと勝てない。今日は最後の所をやらせていなかったけど、打たせてしまった1本でああいう形になってしまった」と振り返る。また、中盤での守備がルーズになっていたと指摘した。

「中盤がルーズになったのでDFの上げ下げが上手くできなかった。そこからカルリーニョスにドリブルをされたり、ボランチにパスを散らされて、全体的に押し込まれる時間も多くなったと思う」(高橋)

 指揮を執るポポヴィッチ監督は「うちの選手には良くやったと言いたい」と語り、「トレーニングで続けてきたことができていた。ボールを動かして崩していくことに関しても(荒れた)ピッチの影響を感じさせなかったが、フィニッシュの精度を欠いてしまった」と、チームの戦いぶりに満足していることを強調した。

 もう一つ、指揮官が喜んだのが、試合後のサポーターの反応だった。大多数のF東京サポーターは、試合後もチームに拍手を送っていた。彼らの反応こそが、今後の財産になるとポポヴィッチ監督は言う。

「今日の試合で、どちらが上だったのかを感じてくれたのだと思います。だからこそ、ブーイングではなく、選手に拍手をしてくれたのでしょう。サポーターのみなさんも、結果だけではなく、試合内容、形を見る目が養われてきたのだと思います。このサポーターのみなさんのサッカーを見る目が、このクラブの将来を保証となるはずです」

 もちろん、指揮官を筆頭に、結果が重要なことは誰もが分かっている。それを強調したのは、DF森重真人だ。「内容は良かったけど、結果を残さないとダメ」と語気を強め、こう続けた。

「これがトーナメントなら、ここで敗退です。こういう試合を勝ちに持って行くくらいのチーム力を付けないといけない。焦る必要はないけど、危機感を持ってやらないといけない」

 残留争いがもたらす焦燥感に駆られていない今だからこそ、結果がほしいところだ。

(取材・文 河合拓)

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