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香川級の輝きでヤングなでしこを救った田中陽「国立で決める」

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[8.22 U-20女子W杯A組 日本2-2ニュージーランド 宮城ス]

 チームの窮地を救ったのは、やはり頼れるエースだった。前半に2点を先行されたヤングなでしこ。“想定外”の2失点で、初戦のメキシコ戦で見せたような落ち着きと自信を失ったチームだったが、前半37分にMF田中陽子のゴールで1点を返すと、徐々にらしさを取り戻していった。後半26分には田中陽のCKをFW道上彩花がヘディングで合わせ、2点差を追いついて勝ち点1を獲得した。
 
 試合後、田中陽は「勝てた試合だった」と悔しさをにじませた。「ニュージーランドは予想以上に強かったし、(2得点の)勢いにやられた。決めるべきところを決めていれば勝てた試合だったと、チームメイトと試合後に話しました」

 試合終盤の猛攻も実らず、惜しくも勝ち点3は逃したが、田中陽は先発でトップ下、後半途中からは本職のボランチに入り、獅子奮迅の活躍。ときには自ら切れ込み、ときには味方を使い、ヤングなでしこの攻撃を牽引した。後半30分、鮮やかなシュートフェイントでDF2人を巧みにかわしシュートまで持ち込んだシーンは、ゴールこそならなかったが、客席からどよめきが起こった。ポジション、プレースタイル。その姿は、日本代表MF香川真司を彷彿とさせた。

 この日は1ゴール1アシストを記録し、本職ではないトップ下も板についてきた。「トップ下で出る以上は、得点することも役割だと思っています」という言葉どおり、与えられた仕事をこなし初戦に続いて2戦連発となった。
 
 本来、このチームのトップ下は、ケガで大会を欠場したFW京川舞のポジション。大会前はエースの離脱で攻撃力の低下が懸念されたが、新エースが見事にその穴を埋めている。田中陽が京川から託されたのはトップ下だけではない。田中陽が試合中に身に着けているヘアバンドは、京川からプレゼントされたものだという。「激励のメールももらっている」という京川にむけて、ゴール後にはヘアバンドを手にしたパフォーマンスも見せた。

 引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる第3戦スイス戦からは、舞台を宮城スタジアムから国立競技場に移す。「国立は一度はプレーして見たかった場所。はじめてですけど、楽しんでプレーできると思います。特別な場所で決勝トーナメント進出を決めたいです」聖地・国立で、背番号「9」がヤングなでしこを次の舞台に導く。

(取材・文 奥山典幸)


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