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“韓国キラー”柴田が2得点の大活躍

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[8.30 U-20女子W杯準々決勝 日本3-1韓国 国立]

 試合後も大粒の汗が止まらなかった。トップ下で先発のMF柴田華絵(浦和レッズレディース)が「国際大会では初めて」という1試合2得点でチームに勝利をもたらした。

 鮮やかな先制シーンは前半8分だった。1トップで初先発したFW西川明香(FC高梁吉備国際大)が下がりながらパスを受けると、柴田が絶妙なタイミングで韓国DFの裏へ抜け出す。GKを含め、相手守備陣がまったく対応できない鋭い飛び出し。止めに来たGKの鼻先をするりとかわすように流し込むと、ボールはゆっくりと無人のゴールに吸い込まれた。

「いいタイミングで(西川)明花が前を向いたので、いいタイミングで打てました」。柴田はしてやったりの表情だ。

 2点目は最高のタイミングでの得点だった。日本が相手のサイド攻撃を防ぎ切れずに失点し、試合を振り出しに戻されてから4分後の前半19分。MF田中美南(日テレ・ベレーザ)の右からの長くて強い横パスを、どんぴしゃりのトラップで止めて左足を振り抜いた。豪快なシュートは無回転でゴールネットを揺らし、2-1と勝ち越した。

 これには吉田弘監督も「今日のMVPは柴田。相手に流れが来そうなところで点を取ってくれた」と賛辞を惜しまない。

 普段は午前9時半から午後4時半までさいたま市内のビル清掃会社で事務をするOL。仕事が終わってからクラブで練習をしている。ハードな毎日だが、「もう2年目なので慣れました」と涼しい顔だ。今回は「出張扱い」で大会に参加している。

 今回のU-20女子W杯では4試合中3試合、トップ下で先発してきた。エースのMF田中陽子(INAC神戸)と併用されている状況だが、「ライバル意識というのは出ない。今日は陽子も左サイドだったし、ポジションチェンジもよくするので、練習では2人でコンビネーションで崩そうという話をよくしています」と息もぴったりだ。

 韓国には昨年のU-19女子アジア選手権でもゴールを決めており、これで3得点目。身長153cmの小柄なテクニシャンは「1対1の対応や(DFの)間合いとか、アジアの中ではやりやすい印象があります」と、韓国に対しての自信をさらに深めた。

 これから先、何年も対戦することになっていくライバル国に「悪い印象はない」ときっぱり。頼もしい韓国キラーが誕生した。

(取材・文 矢内由美子)
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