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柏U-18「悔しい」敗戦もネルシーニョ監督は健闘賞賛「あの中からレイソルを支える選手が生まれてくるのは間違いない」

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[9.8 天皇杯2回戦 柏 3-0 柏U-18 柏]

 日本クラブユース(U-18)選手権優勝、プリンスリーグの関東1部から全国リーグへの昇格、Jユースカップ優勝、そして天皇杯本大会で「トップチームと対戦する」こと。日本クラブユース(U-18)選手権での全国制覇に続き、柏レイソルU-18はこの日ふたつ目の目標を達成した。ただ健闘したものの、0-3での敗戦。試合後にはトップチームのネルシーニョ監督から「レイソルアカデミーはきょうのゲームでも彼らの持っている資質を証明したと思うし、嬉しく思います。なぜなら、彼らがあすのレイソルを支える、あの中からレイソルを支える選手が生まれてくるのは間違いないから。チームのクオリティをあの場所で出してくれた、頼もしいチームだと思う」と讃えられたものの、主将のMF秋野央樹は「どこが相手でも負けて悔しい」と満足していなかった。

 4,712人のサポーターが来場した大会史上初の「Jリーグのトップチームとその育成組織との対戦」。U-18チームにとっては憧れの日立台サッカー場でプレーすることに、強い緊張感を感じていた。下平隆宏監督も「物凄く緊張していた。(試合前のウォーミングアップでは)今まで見た中で一番悪くて、緊張で足がガチガチだった」というほど。それも影響してか、立ち上がりはユース世代ナンバー1のポゼッションでリズムをつくることができない。球離れが悪く、ボールを引っ掛けられると奪い返すことができず。なかなかボールを保持することができなかった。

 MF小林祐介は「ビビらずにやっていこうと思った。(ただ)寄せも早くて強くて。最後まで持っていけなかった」と振り返ったように、思うような試合運びをすることのできなかった柏U-18は前半14分に中央からあっさりと崩されて失点。それでも17分に小林とFW吉川修平のコンビで右サイドを打開するなど徐々にリズムをつかむと、19分にはMF中川寛斗のスルーパスで抜けだした吉川のラストパスにFW木村裕が飛び込んだ。

 その後も29分にゴール正面左寄りの位置でFKを獲得した木村の右足FKがクロスバーを直撃。左足から長短自在のパスを操るアンカーの秋野と局面での強さと技術の光った小林、そして158cmと小柄ながらその走力と技術で存在感を放つ中川中心にプレッシャーに来るトップチームの選手たちを振り回す時間帯もあった。

 だが、相手のパワーとスピードアップした攻撃を食い止めることができず、前半ロスタイムに2点目を奪われると、後半開始直後にも失点。相手MF澤昌克にマークされた秋野を最終ラインへ移行して攻撃を組み立て直したチームは、守備面でもGK伊藤俊祐中心に粘り強い守りを見せたが、1点を奪うことができなかった。

「全部出しきって勝ちに行こうときょうは臨みました」という指揮官の下、セットプレーも徹底するなど勝つための準備はしてきた。その中でボールを持って主導権を握ることもできた。今後へ向けて手応えを得る試合となった。中川は「個人的には大谷(秀和)クンとか栗澤(僚一)さんとかとの1対1でできた部分があったり、これから学ばないといけない部分もあった。これからの自分のサッカー人生につなげていきたいと思います」と話す。

 一方で、想定していた以上にフィジカル差があり、終盤は足を攣らせる選手も出てくるなど課題も残った。また、U-18チームにとって残り2つの目標を達成させるためには、ゴールへの執着心やゴールに対する意欲の部分も向上させる必要がある。秋野は「(トップチームは)ゴール外したら叫んだりというのがあった。本気でゴールを目指しているな、という部分がユースの選手はないと感じました」。次の目標は現在2位のプリンスリーグ関東1部で優勝して全国リーグ昇格を決めること。負傷で長期離脱中のU-19日本代表GK中村航輔が戻ってくればチームのクオリティはさらに上がるはず。U-18チームの選手たちがトップチームの選手たちがともにサポーターに挨拶する姿を「ユースの選手たちが頑張ってここまでたどり着いて、こういうご褒美がもらえたと思います」と振り返った下平監督の下、チームは“夢の日立台ダービー”を今後の目標達成へつなげる。

(取材・文 吉田太郎)
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