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「20-0」本格強化2年目の城西国際大、千葉1部昇格へ圧巻スコアで大勝発進

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[9.16 千葉大学2部L第2節 城西国際大20-0東京成徳大 城西国際大G]

 平成24年度千葉県大学サッカーリーグ秋期 2部リーグは16日に第2節を行い、「PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)」(城西国際大G)で東京成徳大と対戦した城西国際大は、MF井之元和之(1年=都城高)、MF桑野淳史(1年=福岡U-18)、FW寺田大輝(1年=浜松開誠館高)、FW香川滉太(1年=瀬戸内高)の4選手がハットトリックを達成するなど20-0で圧勝した。麗澤大との開幕戦を不戦勝している城西国際大はこれで開幕2連勝。目標の全勝優勝、千葉県1部リーグ昇格へ向けて狙い通りのスタートを切った。

 4勝4敗で2部4位に終わった昨年とは明らかに別チーム。実質初戦となった試合で城西国際大が力の差を見せつけた。城西国際大は寺田を頂点に右FWがキャプテンマークを巻いたFW湯本直矢(3年=東京都市大塩尻高)、左がFW米澤康太(1年=都城工高)の4-3-3システム。トップ下に井之元が入り、ダブルボランチはMF橋本渉(1年=広島皆実高)と桑野。4バックは右から溝口大気(1年=室蘭大谷高)、呉島勝士(1年=広島皆実高)、佐々木祐介(1年=大津高)、重行拓也(1年=広島ユース)が並び、GKは平山優樹(1年=長崎日大高)が先発した。

 2010年のW杯南アフリカ大会で日本代表のチームコーディネーターを務めた経歴などを持ち、昨年からチームの本格強化を託されている小山哲司監督の指示は「勝ち点3を獲ること」。待ちわびた“開幕試合”で、選手たちはキックオフからトップギアで東京成徳大に襲いかかった。前半7分に「最初が肝心だと思っていたので、試合の入りからガンガン行きました。早めの得点が取れれば、みんなの硬さも取れると思っていました」という重行が米澤とのワンツーで難なくディフェンスラインを突破すると、左足シュートでチームの今季リーグ戦初ゴールを叩きだす。この一撃を号砲に城西国際大は圧巻のゴールショーを演じて見せた。14分には左サイドのスペースへ展開すると、ドリブルでPAへ切れ込んだ米澤の右足シュートのこぼれ球を桑野がプッシュして2-0。19分にも米澤の左クロスを逆サイドからPAへ飛び込んだ湯本がスライディングボレーで合わせて3点差とした。

 決して攻撃のテンポが良かった訳ではなく、ベンチの小山監督からは「もっとシンプルに、ワンタッチを狙え」という声がかけられていた。それでも高いディフェンスラインを取った相手の背後へ橋本と桑野が的確なパスを通すと、全てがビッグチャンスに。21分、右サイドから縦に仕掛けた橋本のラストパスを井之元がゴールへ流し込むと、23分には左サイドを抜けだした米澤のアシストから寺田が決めて5-0とリードを広げる。ダイレクトでのパス交換やサイドチェンジを多用したりといった攻撃の工夫をするまでもなく、1本のスルーパスで難なくチャンスをつくることができてしまう。警戒されていても相手の背後を取る精度と、強力な両ワイドなど個の高さも活かして攻める城西国際大は寺田が31分と45分、井之元が32分と36分、桑野が41分と45分に得点して11-0で前半を折り返した。

 開始から寺田に代えて左サイドにMF花本敏生(1年=米子北高)を投入した後半も、個のレベルが高い城西国際大の攻撃は手がつけられない。2分に米澤とのワンツーで抜けだした井之元がGKをかわして12点目を決める。5分に湯本、10分に米澤が加点すると、13分には直前に井之元に代わって投入されたばかりのMF小嶋慶蔵(1年=長崎日大高)が溝口のスルーパスで抜け出してゴール。そして16分にはGK平山から相手に全く触られることなくボールをつなぐと、最後は米澤とのワンツーから重行がゴールを陥れた。

 さらに18分、左サイドを抜けだした花本のクロスをファーサイドの湯本がダイレクトで折り返して中央の米澤が決めると、後半19分から米澤に代わって起用された香川が3点を加えて20得点を達成。派手なゴールラッシュでも彼らのポテンシャルの高さを実証したが、「守備の集中を切らさないことだけを考えてプレーしました」と振り返るCB佐々木が一発のスライディングタックルで相手の突破を阻み、「相手に絶対にサッカーをさせないということと、絶対に失点をしないことを考えていた。ハーフウェーラインよりもこっちにこさせないような内容でサッカーをしなければいけないと思っていた」という橋本が中盤で厳しい守備を見せるなど、東京成徳大をミドルレンジからのシュート4本に封じて無失点で終えたことも評価できる試合だった。

 20得点というインパクト十分の“初戦”。今季の千葉2部リーグ優勝は“絶対ノルマ”でこの先千葉1部リーグ、さらに上のカテゴリーの相手とどこまでできるのか期待が高まるところだが、小山監督は「(現在の実力では関東のチームに勝つのは)まだ無理でしょう。この子たちが3、4年になった時にどれだけできるか。まだ(レギュラーの大半は)1年生です。真剣勝負になればそうはいかない」と引き締める。実際、練習試合では連続失点でリズムを崩し、千葉1部リーグのチームに大量失点した試合もある。本格強化2年目の今年はJクラブユースや全国大会常連校などから大量に1年生が入部し、「タレント軍団」、「新進気鋭の大学チーム」として注目が集まる城西国際大は昨年に比べて間違いなくレベルアップしているが、現状に満足する訳にはいかない。3年生の湯本は「もうひとつとかふたつ上がっていったら全然通用しないと思うので、もっと技術面もフィジカル面も伸ばしていかないといけない。いい環境を与えてもらっているから勝たなければいけないと思っている」と語り、全勝とリーグ戦通しての成長を誓った。

 今年5月には「Jクラブ並み」という評価を得ているクラブハウスとJFA公認の人工芝グラウンド、「PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)」がオープン。この夏の休日はわずか1日だけで、最高の施設で非常にテンポの早いトレーニングを徹底的に行ってきた。その成果を発揮して目の前の試合を確実に勝利し、自分たちの可能性を広げていかなければならない。溝口は「この秋の2部リーグ戦では全部勝ち点3を取らないといけないと思っています。全勝を狙っています。ただここで優勝するのが最終的な目標じゃない。もっと高いところを目指してやっています。そういう高い意識があれば、こういう試合でも、もっといい試合ができると思っています」。20-0もあくまで「1勝」。高みを目指すチームは気を緩めることなく、成長を遂げて勝ち続ける。

[写真]前半7分、城西国際大DF重行が先制ゴール。これがゴールラッシュの幕開けとなった

(取材・文 吉田太郎)

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