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水戸から広島へ、J1初先発の塩谷が6試合ぶり完封に貢献

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[10.6 J1第28節 横浜FM0-0広島 日産ス]

 緊張のJ1初先発を無失点で切り抜けた。今年8月に水戸から完全移籍でサンフレッチェ広島に加入したDF塩谷司が、出場停止のDF森脇良太に代わって3バックの右で先発出場した。四国社会人リーグのFC今治に敗れた9月8日の天皇杯2回戦にも先発していたが、J1リーグでの先発は初めて。「緊張の方が大きくて、試合前のロッカールームではみんなにプレッシャーもかけられた」と苦笑いしたが、「最近失点が続いていたし、自分が入ったらゼロに抑えようと思っていた」と、6試合ぶりの無失点に貢献した。

「練習の紅白戦などで薄々感じていた。前日に監督から『思い切ってやれ』と言われて、これはあるなと思った」。試合中は縦関係の右サイドハーフに入ったMF石川大徳から「楽しもう」と声をかけられ、「ポジショニングのことだったり、いろいろ声をかけてくれて、ノリくん(石川)に助けられた」と感謝した。

 後半30分にPKを与えた場面では、サイドから中に切れ込んできたFW小野裕二に対し、塩谷が対応していたが、後方からチェックに来たMFミキッチが足をかけてしまった。「あそこで取れるイメージだった」と悔やまれるシーンだったが、小野はPKを失敗。「全員の勝ちたい気持ちが上回って、PKを失敗してくれた」と胸を張った。

 徳島商高から国士舘大に進学した塩谷は、大学4年時に国士舘大コーチに就任した現水戸監督の柱谷哲二氏にCBへコンバートされた。そして柱谷氏が水戸の監督に就任した11年に水戸に入団。1年目から主力として35試合出場に出場すると、今季も25試合に出場し、夏に広島へ移籍した。J2クラブからJ1首位のチームへ。「最初は『えっ』て思ったけど、すごいチャンスだなと思った」。移籍当初は「違うリーグに来たみたいな感じだった」と戸惑いもあったが、「練習から全然違うし、危機感もある。いい移籍だったと思う」と、徐々に存在感を高めていった。

 今回は森脇の出場停止でめぐってきたチャンスだった。「ポジションを奪うぐらいの気持ちでやったし、レギュラーを取るのが一番の目標。シーズン途中の移籍でも、ポジションを脅かすぐらいのプレーを見せていきたい」。プロ入りわずか1年半で大きなステップアップを遂げた塩谷だが、現状に満足することなく、J1で優勝争いを繰り広げるチームの中でさらなる挑戦を続けている。

(取材・文 西山紘平)

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