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昨年1部相手に圧巻11発!城西国際大、開幕9連勝

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[11.11 千葉大学2部L第10節 城西国際大11-0了徳寺大 城西国際大G]

 城西国際大は11日、「PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)」(城西国際大G)で開催された平成24年度千葉県大学サッカーリーグ秋期2部リーグ第10節で了徳寺大に11-0で快勝し、首位へ浮上した。1試合消化試合の少ない城西国際大だが、次節の千葉商科大戦に勝てば、来季の1部昇格が決まる。

 開幕9連勝で総得点106、失点1(麗澤大戦は不戦勝で5-0扱い)。本格強化2年目の城西国際大が圧倒的な実力差を見せつけて1部昇格をほぼ確実なものとした。ただMF桑野淳史(1年=福岡U-18)は「まだ通過点なので、次がある。(1部昇格は)目先の目標ではあったけれど、まだまだ満足できない。来年千葉県1部で自分たちのサッカーが出来ればと思います」と気を引き締めていた。

 この日の対戦相手は昨年1部の了徳寺大だったが、城西国際大は立ち上がりから相手を全く寄せ付けなかった。4-2-3-1システムの城西国際大はGK平山優樹(1年=長崎日大高)、右から溝口大気(1年=室蘭大谷高)、呉島勝士(1年=広島皆実高)、重行拓也(1年=広島ユース)、津川暢彰(1年=札幌U-18)の4バック。中盤はダブルボランチに橋本渉(1年=広島皆実高)と桑野が入り、2列目は右から井之元和之(1年=都城高)、米澤康太(1年=都城工高)、花本敏生(1年=米子北高)、1トップは香川滉太(1年=瀬戸内高)の構成で試合をスタート。前半6分、桑野のCKから香川が「前節、なかなか1点目が入らなくて、流れがつくれなかった分、1点目が大事になると思っていた。なるべく早く1点目取って流れをつくりたいなと狙っていたんですけど、(桑野)淳史がいいボールを上げてくれて押しこむだけでした」と先制ゴールを叩きだすと中央、サイドから決定機を量産してシュート数28-1で11得点を奪う完勝だった。

 19分に縦パスで抜け出した井之元が左サイドから一気にPAへ持ち込み右足で2点目。27分に桑野の左CKからファーサイドの重行が頭で決め、36分には香川がGKとの1対1をループシュートで制す。前半アディショナルタイムには左サイドのオープンスペースを突いた花本の折り返しを井之元が押し込んで前半を5-0で終えた。 
 
 了徳寺大はリスタートが速く、隙を突こうという意思を見せていた。また空中戦で健闘し、球際もガツガツ来ていたが、城西国際大がサイドでワンツーを試みればほぼ成功してしまうような状態。背後を狙ったボールもその多くが通って決定機となった。後半1分には井之元に代わって投入されたFW湯本直矢(3年=東京都市大塩尻高)の飛び出しから最後は花本が決めて6-0。8分にも右サイドを抜け出した湯本のラストパスを米澤が押し込むと、12分にはゲームキャプテンの橋本も左足でリーグ戦初得点を挙げる。

 8分に花本に代えてMF小嶋慶蔵(1年=長崎日大高)、25分に米澤に代えてFW寺田大輝(1年=浜松開誠館高)を送り出した城西国際大は27分に寺田のアシストから香川が決めてリーグ戦4度目のハットトリック達成。33分に寺田が頭で加点して得点数を2桁に乗せると、試合終了間際にも右クロスに桑野が飛び込んで11点目を奪った。

 他を圧倒するハイレベルなサッカーを展開して千葉1部昇格を決定的なものとした城西国際大だが、年代別の日本代表歴を持った選手は不在で、高校時代は無名だった選手ばかり。だが、千葉2部からの挑戦を決意して集まった無名の逸材たちが非常に情熱的な毎日を過ごしている。普段の練習は非常にスピーディー。メニューとメニューの間にはわずかな給水のみですぐに次へと移っていく。また妥協せずに厳しい言葉をかけながらトレーニングしていること、また毎週実施される紅白戦で激しい競争が行われることでスケールアップ。主力を務める1年生が入学直後だった春から格段にレベルの高い個、チームに成長した印象だ。

 前節退席処分となり、この日ベンチから外れた小山哲司監督も「(全国的には)知らないような選手ばかりだからね。自分が頑張らせているわけではなくて、彼らはサッカーが好きなんだよ。試合の時は自分もうるさく言うけれど、練習の時は自分たちからやっている。『切磋琢磨』という言葉をよく使うんだけど、互いに競い合って自分だけじゃなくて周りも良くなれば、それだけチームも良くなる。今、そういう感じにはなっている」と目を細める。

 選手たちも厳しい練習の中で成長していることに手応えを感じている。井之元は「練習で一人ひとりが集中しているから、どんどんレベルアップしていくと思うし切磋琢磨して、一人ひとりがレベルアップしていけばチーム全体も良くなる」。また東海選抜歴を持つなど実績あるFW寺田も「ちょっと調子が落ちたりすると、他の選手が出てくる環境にある。常に高いパフォーマンスを見せていかないと試合に出るのは難しいと思います。トレーニングが全てだと思っているので、トレーニングでやった中で試合で結果を出せれば一番だと思う」と前を向いた。

 今季掲げていた目標は手中におさめつつあるもの、まだ通過点。選手、コーチングスタッフには来年、そして再来年を見据えた強化に余念がない。橋本は「今、練習では『周り見ろ』しか言われない。『周り見ろ』と切り替えとほとんど練習も2タッチ以下。対人でも2タッチ以下だから周り見ることをものすごく要求されていて、それがまだチーム全体でできていない。監督から言われていることを早く克服することが来年、再来年につながる。ここで足踏みするわけにはいかない。だから練習からみんな意識していかないといけない」。目標は関東1部昇格。現在の1年生たちが4年時にその目標を果たすためには千葉1部も関東2部も1年で昇格を決めなければならない。上のカテゴリーに行くに連れて対戦相手のレベルも間違いなく上がってくる。現在、1年目の目標をほぼ成し遂げている状況だが、成長を足踏みさせる訳にはいかない。

(取材・文 吉田太郎)

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