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[MOM686]G大阪ユースDF本屋敷衛(3年)_急成長を遂げたDFの要

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.25 Jユースカップ準々決勝 柏U-18 1-1(PK4-5)G大阪ユース 万博]

 勝利の立役者は試合を終えてピッチを出る瞬間、涙を流していた。崩れ落ちる彼はチームメイトに支えられ、サポーターへの挨拶へと向かっていく。

「去年、ずっとベンチに入っていたけど、なかなか試合に出れなくて悔しかった。初めて今年ピッチに立てて、ここまで来れたのが嬉しくて、感情が出てしまった」。本人がそう話したように、入団から今年に入るまで、トップ昇格を果たしたDF西野貴治、DF稲森克尚という高い壁に拒まれ、満足に出場機会を得ることが出来なかった。

 今年の春先、梅津博徳監督が「今年は守備が不安」と話したのも経験不足を心配してのことだった。プリンスリーグが始まっても、大量失点を喫するなど満足な結果が出なかった。

 そんな彼の転機は夏に訪れた。「クラブユースは個人でもチームでも全然、結果が出なかったんで、練習から走って、体力をつけてどこのチームにも負けない自信を作った」。

 走力でつけた自信は守備でのパフォーマンスに繋がっていく。プリンスリーグの前半9試合では16失点を喫したが、後半戦では9試合で6失点にまで減少。「CBは夏で限界あるかなと思ったんですが、成長してくれた。ある程度の攻撃陣なら止めてくれると思っている」と梅津監督が評すまでの成長を見せた。

 この日の柏戦でも、1ゴールこそ許したが「ボールを保持されるのは分かっていたので、しっかりブロックを組んで、間延びしないように気をつけていた。保持されるシーンはあったけど、わざと中盤にボールを入れさせてそこで獲るというのを狙っていた」と相手攻撃陣をうまくブロック。試合終了間際の相手の猛攻も身体を張って、耐え凌いだ。

 一発で流れを変えるDFの裏へのロングフィードも武器の一つで、今日はうまく発揮できなかったと反省したが、足元の技術は確か。「獲ったボールをなるべく失わないようにして、自分たちのペースでやろうと心掛けていた。DFラインからのポゼッションも意識してきた」と話したように、後方からG大阪らしいポゼッションサッカーを支え続けた。「前半で1点取られてチームが焦っている感じやったんで、後半は笑ってやろうと心掛けて楽しく出来ました。結果、PKになったけどいい試合やったと思います」。インタビューも終盤になると、涙もすっかり乾き、笑みがこぼれていた。

 準決勝の舞台もこの日と同じく、ホームの万博。「ホームなんで、多くのサポーターにが来てくれている。強みにもなっているんで、勝って決勝へと行きたい」。もう一度、喜びの涙を流すために、彼の健闘は欠かせない。

(取材・文 森田将義)
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