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[MOM733]桐光学園MF橋本裕貴(3年)_2ゴールに絡んだ桐光のディマリア

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 佐賀商0-3桐光学園 三ツ沢]

 トリッキーかつスピードに乗ったドリブルで、攻撃を引っ張った。昨年大会で実現できなかった8強進出を目指す桐光学園(神奈川)のMF橋本裕貴(3年)は、前半から何度も右サイドからチャンスをつくり出した。21分にはMF松井修平(3年)からのパスを受けると、中央に切り込んでシュートを放つ。これを佐賀商業(佐賀)GK島ノ江佳祐}}(2年)が弾いたところをFW市森康平(3年)が押し込み、桐光学園が先制点を挙げた。

「あの場面は、風を利用したシュートを打とうと思っていました。思い切り打てば、風で変化すると思ったので。どう変化するかまではわかりませんでしたが、狙い通りのシュートが打てたと思います」と、橋本はアシストにつながった一撃を振り返った。

 両ワイドに橋本とMF菅本岳(3年)を張らせている桐光学園の佐熊裕和監督は、その意図を説明する。「左右の選手が中に絞ってくることが最近は多いけれど、うちは松井の強みを生かしたい。彼が上がってこれるように、両ワイドは広く左右に開いて、松井が使うスペースをつくる。サイドの選手が中に入って、ゴールではなく、ポゼッションをすることが目的になっても困るから」。

 左右のサイドだけでなく、FWもボランチでもプレーできるという橋本だが、この日は右サイドで強烈な輝きを放った。2点をリードして迎えた後半、何度も右サイドで相手守備を切り裂き、中央に好パスを供給。チームメイトのシュートがGK長野江の好守に阻まれるなど、なかなか追加点にはつながらなかったが、後半25分に松井が決めたダメ押しゴールも、右サイドの橋本が起点となった。

 同じく左利きのレアル・マドリーMF「アンヘル・ディ・マリアのようだ」と、過去に何度か例えられることがあるという橋本は、「嬉しいですけど、まだなりきれていません」と、今の自分に満足していない。「自分が仕掛けたり、パスを出したり、いろいろなプレーをすることで相手も混乱すると思うから、もっと積極的に自分の持ち味を出して、相手を嫌がらせたい」。貪欲に成長への意欲を示した。

 まだ高校3年生だが、「いずれは監督として、桐光に帰ってきたい」と将来のプランを明かすサイドアタッカーは、愛する桐光学園に初の選手権タイトルをもたらしたいと考えている。「昨年は、3回戦で負けて悔しかったから、今日勝てたことで嬉しいです。でも、今年は優勝することを目指している」と、まだ喜ぶ段階ではないと語る。高い目標を掲げる橋本について、佐熊監督は「まだまだやれるはず」と期待の言葉を口にしたが、それを聞いた橋本自身も「僕もそう思います。今日は連戦で少し足に来ていたので、もう少し仕掛けたかった」と、認めた。

5日に、中1日で迎える準々決勝の作陽(岡山)戦では、すべての力を出し切る。「夏に石川遠征したときは0-0で引き分けました。次も1点を争う厳しい試合になると思うし、PK戦になるかもしれない。気を緩めずに集中して、最高の仲間たちと一試合でも多くプレーしたい」と意気込んだ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 河合拓)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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