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[大学選手権]涙の準優勝、鳥栖入りの清武「鳥栖のサポーターに認められるいい選手に」

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[1.6 全日本大学選手権決勝 早稲田大3-1福岡大 国立]

 敗戦を告げるホイッスルが鳴り響くと、福岡大MF清武功暉(4年=大分U-18)はピッチに仰向けになって倒れこんだ。「無心でしたね。終わってしまったという感じでした」。日本一を目指して戦った大学生活最後の挑戦は涙の準優勝で終わってしまった。

 この日、清武が投じたロングスローは10本を越えた。FK、CKのキッカーとして精度の高いキックを放り込んだ。そしてドリブル、ラストパス、シュートと福岡大の攻撃には常に清武が絡んでいた。ただ、ゴールをもたらすことはできなかった。前半16分にはFW岸田和人のラストパスから左足シュート。後半16分には左サイド後方から蹴りこんだ右足FKがクロスバーを叩く。そして35分には絶好の同点機。左SB弓崎恭平の左クロスにタイミングよく走りこんで頭で合わせたが、シュートはGK正面をついた。試合後、悔しい思いは涙となって溢れ出ていた。

 福岡大で成長を遂げたことは誰もが認めるところ。来シーズンからサガン鳥栖へ加入することが決まっているが、4年前は大分トリニータの下部組織からトップチームへ昇格することができなかった。そこから大学4年間を経て「自分自身、高校の時には『波が激しい選手だ』と言われていたので、その波が少しでも小さくなったのではないかなと思います」と分析する選手になった。その成長を支えてくれたチーム、恩師・乾真寛監督を頂点に立たせたかった。だが思いは届かず。「(監督は決勝が)3度目だったので、3度目の正直で優勝させてあげたかったです」と残念がった。

 大学でやり残したことがある。ただ、前進するために次のステージでまた一歩を踏み出さなければならない。兄の清武弘嗣の活躍もあることから今はまだ、「清武」という名前の知名度が先行しているかもしれない。大学サッカー界での大きな評価は勝ち取ったが、「清武功暉」の実力を鳥栖のサポーター、そして全国のサッカーファンに認めさせるのはこれからだ。「鳥栖のサポーターというのは、気持ちが入っているし、優しい方が多いので、自分の顔と名前をしっかり覚えてもらって、応援してもらえる選手になりたいなと思います。(実力で名を覚えてもらうためには)自分次第。努力してサポーターに認められるいい選手になりたいと思います」。プロ1年目の目標を「コンスタントに試合に絡み続けたい」と掲げた注目MFは「(きょうは)悔いしか無いです。悔しい思いしか無いですけど、この悔しい思いを次につなげられればいいと思います」と誓ったように、間もなく始まるキャンプから頭ひとつ抜け出すための努力をする。

(取材・文 吉田太郎)
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