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[選手権]悪天候による決勝順延は“史上初”。97年度「雪の決勝」よりも早く降り出した雪が順延の要因に

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 14日14時5分より東京・国立競技場で開催される予定だった第91回全国高校サッカー選手権大会決勝、鵬翔(宮崎)対京都橘(京都)戦は荒天(降雪)のため中止・順延となり、19日12時5分より国立競技場で開催されることが発表された。昭和天皇崩御によって1988年度大会準決勝、決勝が2日間順延されたケースがあるものの、1976年度の首都圏開催移行後、悪天候によって大会が順延されたのは今回が初めてとなった。

 未明から都内で降り始めた雨は10時頃から雪に。全国高校体育連盟サッカー専門部の横田智雄部長によると、主催者サイドは急激に天候が悪化した11時の段階で中止の方向で検討をはじめ、さらに雪が強まっていることが確認されたことから、12時に中止の決定を下した。そして日程調整等を経て14時から行われた記者会見にて19日に順延することを発表した。

 決勝を延期せず、大会を打ち切って両校優勝とする可能性もあった。決勝順延か、それとも両校優勝か。決勝に出場する両校はともに「主催者の決定に従う」と返答していたが、主催者サイドは「高校生の選手権大会は特別な大会である、と判断した」と日を改めての決勝開催を決定。順延された19日と20日の両日には全国各地で大学入試センター試験が行われるという懸念もあったが、両校のメンバーにセンター試験を受験する選手がいなかったこと、また国立競技場のスケジュールが空いていたことから19日に開催されることが決まった。
 
 東福岡(福岡)が高校年代3冠を達成した1997年度大会決勝の東福岡対帝京(東京)戦は積雪の中で行われ、「雪の決勝」として語り継がれている。同じように雪の中で決勝を行うことは不可能だったのか。横田部長は「確かあの時(97年度決勝)は12時前後から雪が降り出しまして、みるみるうちに大きくなった。ところがきょうは10時半の段階で雪が降り始め、11時の段階では雪が積もり出して、補助役員および先生方で雪かきも行ったんですが、みるみるうちに真っ白に。12時に順延決定するあと、まだあと2時間この雪が降るのかというようなことで、あの東福岡対帝京の試合よりも2時間雪の降りが早かったことから、これは90分間サッカーをやる状況ではないし、今まで準決勝までしっかりやってきたチームのためにも、この中で決勝戦を行わせるということは無理ではないかという判断をしました」。悪天候によって“史上初”の順延となった第91回大会決勝。ともに初優勝を懸けた決戦は経験したことのないような雪中ではなく、よりよい環境の下で行う判断が下された。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)

【特設】高校選手権2012

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