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[ヤングサッカーフェスティバル]松井、小屋松、野路で後半3発!日本高校選抜が静岡選抜に逆転勝ち!

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[3.10 静岡県ヤングサッカーフェスティバル男子の部 静岡県ユース選抜2-4日本高校選抜 草薙球]

 第28回静岡県ヤングサッカーフェスティバルが10日、静岡市の草薙総合運動公園球技場で開催され、男子の部では第91回全国高校サッカー選手権の大会優秀選手を中心に結成された日本高校選抜が静岡県ユース選抜と対戦。前半を1-2で折り返した日本高校選抜だったが、後半にMF松井修平(桐光学園高)、FW小屋松知哉(京都橘高)、FW野路貴之(桐光学園高)がゴールを奪い、4-2で逆転勝ちした。日本高校選抜は3月23日からスイス・ドイツ遠征を行い、第51回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会に参加する。

 4-4-2システムの日本高校選抜はGKが小川司(大津高)で4バックは右からゲームキャプテンの室屋成(青森山田高)、米原祐(作陽高)、諸石健太(桐光学園高)、高橋壮也(立正大淞南高)の並び。中盤は植田裕史(星稜高)と松井のダブルボランチで右サイドに平岡翼(作陽高)、左に仙頭啓矢(京都橘高)、そして2トップは野路と田村翔太(四日市中央工高、湘南ベルマーレ)が先発した。サンフレッチェ広島FW浅野拓磨(四日市中央工高)は負傷のため、今回の静岡合宿は参加しなかった。

 一方、高校1、2年生のみで結成された静岡県ユース選抜は11年山口国体少年男子の部優勝メンバーがズラリ。同大会得点王のFW中野誠也(磐田U-18)が最前線に位置し、その背後に西澤健太(清水ユース)と梅村晴貴(磐田U-18)が配置された。アンカー気味のポジションに鈴木拳士郎(磐田U-18)が入り、右が北川滉平(磐田U-18)で左が土居柊太(浜松開誠館高)。最終ラインは右から手塚朋克(静岡学園高)、ゲーム主将の鈴木準弥(清水ユース)、山本新太郎(磐田U-18)、渥美瑛亮(磐田U-18)の4バック。GKは高木和徹(清水ユース)が務めた。

 試合は立ち上がり、圧巻のスピードで右サイドから静岡選抜に襲いかかる平岡の突破から、日本高校選抜がチャンスをつくる。練習期間の少ない日本高校選抜は今回の静岡合宿初日の8日に攻撃のイメージをつくり、前日9日は守備のイメージづくりに着手。ただ9日午後の練習試合ではノッキングを起こしてしまい、流れのいい展開をすることができていなかった。

 その中で迎えた“強化試合”。野村雅之監督(作陽高教)は「シンプルに。一昨日の攻撃のイメージは残っているけれど、どこで『刺す』かを狙ってみようということでゲームの入りをした」という。武器である平岡や田村のスピードを活かしながら試合を進めた日本高校選抜。ただ、廿日岩亮監督(気賀高教)が「国体の時は裏一点だったけれど、国体からの積み上げということで中盤でテンポ良くつなぐということをやってきた。前半に限っては満足している」と振り返った静岡選抜がテンポ良くボールを動かし、梅村が相手のファーストディフェンスを剥がすなど中盤で主導権を握っていく。

 15分には梅村のグラウンダーの右CKから鈴木拳が決定的な右足シュート。そして21分、北川滉の右クロスのこぼれ球に反応した土居が右足で先制ゴールを流し込んだ。これで目が覚めたか、日本高校選抜は直後の22分、高橋が迫力のあるオーバーラップから左サイドをえぐって中央へ折り返す。これを野路が落とすと、左中間から走りこんだ仙頭が右足でゴール右隅へ流し込んだ。

 失点をすぐに取り戻して1-1の同点。ただ24分、日本高校選抜はミスから自陣で静岡選抜の中野にボールを拾われると、PAへ侵入した中野にGKがかわされて再び勝ち越されてしまった。日本高校選抜は昨年も年下の静岡選抜に逆転負けを喫しており、「今年もか」という不安が頭をよぎる。それでも後半、日本高校選抜は試合をひっくり返した。ハーフタイムに植田を河面旺成(作陽高)へ交代させた日本高校選抜はまずは9分、右サイドをえぐった平岡の折り返しを松井がゴール左隅へ流し込んで同点。この後、静岡選抜が11分に土居を北川航也(清水ユース)に、18分に西澤をMF金原唯斗(磐田U-18)へ代え、日本高校選抜が11分に田村を小屋松へチェンジすると、よりスピードと相手への圧力が増した日本高校選抜が静岡選抜を飲み込んだ。

 日本高校選抜は13分に仙頭のスルーパスから小屋松が左サイドを攻略し、野路が決定的なシュート。そして22分だ。左サイドの仙頭からのスルーパスに反応した小屋松が飛び出したGKの目前で絶妙なタッチのシュートをゴールへ沈めて勝ち越した。静岡選抜はDF石田崚真(磐田U-18)、DF檜原悠佑(磐田U-18)を投入したが、日本高校選抜は30分、右サイドでDFを振り切った平岡の折り返しを野路が倒れ込みながら右足で決めて勝負の行方を決定づけた。

 この後、静岡選抜はGK長澤祐弥(藤枝東高)を投入。対してMF小原裕哉(鵬翔高)、FW平秀斗(佐賀東高、サガン鳥栖)、DF山田将之(青森山田高)をピッチへ送り出した日本高校選抜は北川航に決定的なシュートを放たれる場面もあったが、ほぼ完ぺきに相手の攻撃を跳ね返して2点リードを守りきった。

 野村雅之監督(作陽高教)は「最初まだまだだったけれど、段々馴染んできた。馴染んだことによって、選手も自信を持ってきた。小原なんかゼロックスで出場機会を与えられなかったけれど、みんな自信を持ってやっていた。まだまだチームとして成長過程だし、選手自身もこういう選抜の中で集まって、伸びていくひとつのきっかけなんだけれど、これからまだ伸びていく要素が見える3日間で、この結果だったと思う」と納得の表情。そして今月下旬に出発する欧州遠征へ向けては「順位という結果もそうだし、その結果とはまた別で、行ったヤツらがある意味、日本代表という日の丸をつけた舞台で何を感じるか。感じるものの量を増やす準備をして向こうへいきたい。10年後に日本を背負って立つような選手になるようなきっかけになればいい」と期待を込めた。

 そして仙頭は「最初に比べても練習から、いろいろチームのコンセプトをつくっていって、みんな同じ意志を持ってできているのかなとおもいますし、あとは事前合宿だけになると思いますけれど、そこでしっかりまとまっていい形でヨーロッパに行けたらと思います」。個の部分で相手に劣った場面もあり、そこで負けないこと、またそれを補う組織づくりが必要。それでもスピード豊かな攻撃陣中心に期待高まる。全国約15万人の高校サッカー部員の代表がさらに自信をつけて、ヨーロッパで大暴れする。

[写真]前半22分、日本高校選抜は仙頭が右足で同点ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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