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PK獲得の内田「まだ(点は)入っていないよと言ったんだけど」

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[3.26 W杯アジア最終予選 ヨルダン2-1日本 アンマン]

 先走りやぬか喜びといった言葉はこの男の辞書にはない。後半24分にFW香川真司のゴールで1点を返したその1分後だった。

 左サイドから右サイドへとポジションを変えたFW清武弘嗣からパスを受け、DF内田篤人(シャルケ)がPAへ進入。高速ドリブルに対応できないヨルダンDFアブダラー・ディーブがたまらず内田を倒してイエローカード。イラン人主審は迷わず日本にPKを与えた。

 沸き上がるベンチ、日本スタンド、そしてピッチ。だが、内田は冷静だった。

「PKを取ったとき、みんなが喜んでいたので、まだ(点は)入っていないよと言ったんだけど」。図らずも遠藤のPKは外れた。

 カナダ戦を終えてヨルダンに向かう前のこと。「次で決める」と息巻くチームメイトの傍らで、内田は「ここで決められればいいけど、別にここで決まらなかったからと言って、終わるわけじゃない。みんな『決めよう、決めよう』と言うけど、もしもここで決まらなかったら反動が大きそう」との懸念を示していた。杞憂に終われば良かったが、それは現実となってしまった。

「勝てれば良かったですけど、6月に次の試合がある。チームに帰って、優勝できる選手は優勝して、代表に自信を付けて戻ってくればいい。ここで終わったわけではないし、僕らは首位にいるんだし」

 がっくりと肩を落とす選手もいる中で、このメンタルは貴重だ。

(取材・文 矢内由美子)

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