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判定に不満のトニーニョ・セレーゾ監督「見応えのある試合が台無し」

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[5.11 J1第11節 浦和3-1鹿島 埼玉]

 文句を言いたくなっても、無理はないだろう。11日に行われたJリーグ20周年記念試合で、鹿島アントラーズ浦和レッズに逆転負けを喫した。問題は1-1で迎えた後半33分に浦和のFW興梠慎三が決めた逆転ゴールの場面だ。明確にオフサイドの位置にいた興梠が、MF梅崎司のクロスにヘッドで合わせてゴールネットを揺らした。「オフサイドかなと思って、ずっと副審を見ていました」と話す興梠は、オフサイドフラッグが上がらなかったことを確認して喜びを爆発させた。

 当然、鹿島の選手たちは副審に詰め寄った。しかし、「誰が最終ラインに残っていたんですか?」と質問した鹿島の選手たちへの審判団の答えは「興梠選手がボールに触っていないからゴール」だったという。場内にゴールシーンの映像がリプレー放送されたことも混乱に拍車をかけたが、判定は覆ることなく、抗議したMF小笠原満男とFWダヴィにはイエローカードが提示された。その後、同点ゴールを目指した鹿島だったが、逆にカウンターから追加点を決められている。

 これでダヴィは警告の累積が4となり、次節の名古屋戦に出場停止である。まさに踏んだり蹴ったりの結果に、怒りが収まらないのはトニーニョ・セレーゾ監督だ。「20周年に相応しいゲームだったと思います。今日はスタジアムに見に来た人、テレビを通じて見た人たちは、素晴らしいショーが見られると期待したでしょう。その中で(Jリーグができて)20年間で成長したことを示せたと思います」と、好ゲームを見せていた両チームを称えた。しかし、「その分野の専門ではないが」と前置きしてから、審判団に注文を付けた。

「レフェリングレベルの停滞は誰が見ても明らかだと思います。ラインズマンもルールにのっとった決断力がない。近くにいるサポーターが声を出して判定する。その無能さに失望しました。見応えのある試合を台無しにしたことは、残念でありません」

 この試合に敗れて、鹿島は4位に順位を落とした。「20周年の記念試合でこういうことが起きたのは、なにか、そういうモノを感じますよね」。そう唇を噛んだDF岩政大樹だが、敗因をジャッジだけのせいにすることはなく、「チャンスを生かせなかった場面もあったし、原因は自分たちにもある」と、敗戦を懸命に受け入れていた。

(取材・文 河合拓)

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