beacon

細貝が4年契約でヘルタへ完全移籍、フランクフルトからのオファー断る

このエントリーをはてなブックマークに追加

 レバークーゼンのMF細貝萌は21日、都内で記者会見を行い、来季からブンデスリーガ1部に復帰するヘルタ・ベルリンに完全移籍することを発表した。契約期間は2017年6月末までの4年間。「来年のW杯や自分が一番成長することを考えて移籍することを決めました」と、移籍を決断した経緯を語った。

 細貝は今季、期限付き移籍していたアウクスブルクからレバークーゼンに復帰。前半戦は左SBでコンスタントに出場していたが、後半戦は出場機会が激減し、シーズンを通して17試合の出場(うち先発9試合)にとどまっていた。

「レバークーゼンは来季、欧州CLにも出場するので、移籍するか迷いましたが、自分の状況を考えたうえで移籍する決断をしました」。レバークーゼンとの契約は2年残っており、クラブからも残留要請を受けたが、出場機会、特にボランチでのプレーを希望し、移籍に至った。

「レバークーゼンでの1年間は大きな財産になった。移籍したいと伝えたとき、自分の気持ちを尊重してくれたクラブに感謝したい」。そう述べたうえで「他のクラブからもオファーをもらったが、ヘルタが一番合っていると思った」と、ヘルタ以外にもフランクフルトから正式オファーを受けたほか、ドイツ国内の複数のクラブが興味を示していたことを明かした。

 来季、レバークーゼンは欧州CLに、フランクフルトはELに出場する。それでも今季のブンデスリーガ2部で優勝し、1年での1部復帰を決めたヘルタへの移籍を決めたのは、ヘルタを率いるヨス・ルフカイ監督の存在が大きかった。細貝が昨季まで所属していたアウクスブルクで師弟関係にあったルフカイ監督とは、オファーを受けた時点で直接会って話をしたほか、電話でも熱烈なラブコールを受けたという。

「一番大きいのはアウクスブルク時代の監督がヘルタの監督をしているということ。日本からドイツに移籍して、まったくドイツ語が分からない状況で自分の性格を分かってくれた。当時は英語で何とかコミュニケーションを取っていたけど、今はドイツ語で話すこともできるようになった」

 ドイツ代表選手も数多く在籍するレバークーゼンでの1年間は刺激的ではあったが、悔しさの連続でもあった。前半戦は主力の故障に伴い、左SBで定位置をつかんだが、後半戦は出場機会が激減。試合終盤に中盤で途中出場することはあったが、練習ではSBでプレーしており、ぶっつけ本番でのプレーに難しさも感じていた。

「練習でもボランチをやれない現状は、今後選手としてやっていくうえで厳しいのかなと思った。レバークーゼンで毎日、ボランチで練習していたうえで、この状況だったのなら移籍したかどうかは分からない。ただ、1年間を通してボランチでプレーする機会が少なかったので、それがレバークーゼンにいて一番厳しかった部分の一つ」

 そんな中、アウクスブルク時代に自分を信頼して中盤で起用してくれていたルフカイ監督からのラブコールはありがたかった。「数多くの試合に出たいと思ったし、中盤でやりたい気持ちをよく分かってくれたヘルタが魅力だった。フランクフルトもELがある中、熱心に誘ってくれたけど、ELに出ることを消してでも、ヘルタに行くことに価値があるのかなと思った」。そう語ったうえで「(ルフカイ監督が)アウクスブルクで自分を評価してくれていたのは感じていた。ヘルタで結果を残すことで恩返ししたい気持ちが強い」と力を込めた。

 ここ数年は1部と2部を行き来する“エレベータークラブ”となっているヘルタだが、すでに今季のヘルタの試合の映像を見たという細貝は「1部に残留しないといけないのは確かだけど、もっと上に行けると思っている」と力説。「(今季の)フランクフルトも2部から1部に上がってきて、上位にいる。個人的には上を目指してやりたいと思っている」と、力強く語っていた。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
欧州組完全ガイド
ブンデスリーガ2012-13特集

TOP