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来季からVVVで指導者生活を本格スタート、藤田「チャンスがあるからトライする」

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[5.23 ほけんの窓口プレゼンツ 藤田俊哉送別試合 ジュビロ スターズ4-3ジャパン ブルー 国立]

 黄金時代のジュビロ磐田で10番を背負ったスタープレーヤーのラストダンスに国立競技場に詰めかけた2万705人が酔いしれた。元日本代表MF藤田俊哉は2ゴール1アシストの活躍でMVPを獲得。自らの送別試合で有終の美を飾った。

 前半は日本代表経験者を中心としたメンバーを中心に編成されたジャパンブルーの10番を背負いプレーした。5分のFW大津祐樹(VVV)のゴールの起点となると、同38分にはMF小野伸二(ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ)のクロスを頭で合わせる。「1度で決めきれないのが僕らしい」。ヘディングシュートは右ポストを叩いたが、跳ね返りを落ち着いて流し込み、“日本代表選手”として最後の得点を奪った。

 後半は2点のビハインドを背負った磐田OBを中心としたメンバーで編成されたジュビロ・スターズでプレー。まずは6分、MF川口信男のゴールをアシストすると、同点で迎えた34分にはFW武田修宏の“ごっつあんゴール”をお膳立て。極めつけは39分、右サイドに開いたFW中山雅史の折り返しをフリーになっていた藤田が押し込み、勝利を決定づけた。 

 来季からはFW大津祐樹が所属し、2部リーグへの降格が決まっているVVVフェンロで本格的な指導者生活をスタートさせる。「行くところと住むところしか決まっていない」と役職などは未定としたが、契約はほぼ合意に達している。欧州トップチームのコーチへの就任が決まれば、日本人指導者にとってもパイオニアとなる。「監督像というのは今はない。監督はやったことのある人しか分からない世界だと思う。まずは指導者の勉強をしっかりしなければいけないけど、(将来的には)ジュビロを上回るチームを作るのが理想ですね」

 藤田を慕った後輩たちがこの日も多く駆けつけた。残念ながら来ることの出来なかった名古屋時代の後輩のMF本田圭佑(CSKAモスクワ)らは試合前のビデオメッセージで登場。藤田の人望の厚さが伺える場面だった。「(名古屋時代に一緒にプレーした)本田(圭佑)しかり、(川島)永嗣しかり、(吉田)麻也しかり、あっという間に俺を追い越して行った。でも爽快だった」。後輩たちの活躍が楽しみで仕方がない様子だ。

「今は僕が(指導者として欧州に)行くことは難しいと言われているが、94年に僕がプロデビューしたころは、今みたいに選手がこれだけ海外でプレーしているとは思わなかった。もう少しすれば当たり前になると思う」。日本でなく欧州で指導者生活をスタートさせることについては、「そこに自分のチャンスがあったから。チャンスがあるからトライする。思ったことをやらないのは好きじゃないしね」と説明した。夢の続きは世界で――。プレーヤーとして日本の頂点を極めた男の新たな挑戦がスタートする。

※敬称略
(取材・文 児玉幸洋)

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