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ドイツから世界へ 清武「真司くんに近づきたい」

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 5大会連続のW杯出場を決めた日本代表において、タレント豊富な2列目のポジションで着実に存在感を増しているMF清武弘嗣(ニュルンベルク)。4日のW杯アジア最終予選・オーストラリア戦はベンチスタートとなったが、後半42分から途中出場し、W杯出場決定の瞬間をピッチで迎えた。

「W杯が決まって良かった」

 W杯アジア最終予選からコンフェデレーションズ杯、そして来年のブラジルW杯本大会へ。アディダス社製の新スパイク「nitrocharge(ナイトロチャージ)」とともに挑む世界での戦いを前に、清武は今、何を思うのか。

 2回に分けてお届けするインタビュー前編では、ドイツ挑戦1年目となった12-13シーズン、31試合の出場で4得点10アシストを記録したブンデスリーガでの1シーズンを振り返ります。

―ニュルンベルクでは移籍1年目で4得点10アシストを記録しました。素晴らしい数字だと思いますが、清武選手自身は満足できないようですね。
「物足りないですね。自分で掲げた目標は『10、10』(10ゴール10アシスト)だったので。それに達していないですし、アシストもセットプレーがほとんどでした。流れの中からアシストした回数は少なかったので、そこはあまり評価できないと思います。自分のプレーも振り幅が大きかったというか、いいときと悪いときの差があったので、そこを一定にやれればよかったなと思っています」

―個人の数字にはチームの強さも関係してくると思いますが?
「それはただの言い訳ですし、自分自身がもっとやらないといけなかったですし、そこはしっかり受け止めたいと思っています」

―初めてドイツに渡って、特に大変だったことはありますか?
「いろんなことが初めてでしたし、言葉が分からないというのが一番難しかったですね。ただ、通訳さんも手伝ってくれて、今はドイツ語も聞き取れるぐらいにはなったので、ストレスなくやれるようになっています」

―ブンデスリーガで対戦して「この選手はすごいな」と感じた選手はいますか?
「(ドルトムントの)マリオ・ゲッツェはすごくいい選手でしたね。すべてのプレーが一流で、ミスも少なく、得点も取れるし、パスも出せる。すべてのプレーにおいて質が高かったと思います」

―ドルトムントというチーム自体の印象はいかがでしたか?
「すごく強いチームでした。団結力があって、チーム力としても素晴らしかったと思います。パスをつなぎながら連動して攻撃を仕掛けるチームで、すごく強かったですね。ドルトムントとバイエルンはブンデスリーガの中でもズバ抜けていたと思います」

―その2チームはUEFAチャンピオンズリーグでも決勝まで勝ち上がりました。
「ブンデスリーガのレベルがそれだけ高くなったということだと思いますし、世界からもすごく注目されていると思います。個人的にはバイエルンよりもドルトムントの方が好きなサッカーをやっていましたね。セレッソ大阪のサッカーとも似ている気がします」

―どんなところに共通点がありますか?
「4-2-3-1というシステムもそうですし、3シャドーが自由に動いてボールを受けるというのも似ていると思います」

―ドイツでプレーして、世界との距離は把握できましたか?
「(対戦する相手は)ドイツのチームだけですからね。でも、例えばバイエルンと対戦すれば、いろんな国のスター選手がたくさんいますし、まだまだ上にはいっぱいいると思います」

―自信という面でドイツに行く前と行ったあとで変化はありましたか?
「ああいうフィジカル的にも激しいリーグでプレーしていれば、おのずと自信は付いてきます。あとはそれを日本代表のピッチの上で表現するだけだと思います。自信なくおどおどプレーしていても、それはプレーに出るし、見ていても『こいつは消極的だな』と思われると思うので。そこは勇気を持ってやっていきたいと思っています」

―欧州でプレーしている他の日本人選手の存在というのは刺激になっていますか?
「常にみんながどういうプレーをしているか、どういう結果を残しているかは気になっていますし、刺激になっています」

―例えば香川真司選手はプレミアリーグで優勝もしました。
「真司くん(香川真司選手)はすごくいいシーズンを送ったと思います。でも、真司くんは『満足していない』と言っているので。優勝しても満足しないというのはすごいことだと思うし、自分もああいうふうになれるように、真司くんにもっともっと近づけるようにがんばりたいと思っています」

―昨年10月のフランス戦では後半途中から清武選手、香川選手、乾貴士選手というセレッソ大阪出身の3人が一緒にプレーしました。
「すごくうれしかったですし、興奮しました。そういう時間を自分たちでもっと増やしていきたいですね」

―香川選手とはいつもプレーしやすそうに見えます。
「真司くんからはいつも『近い位置でプレーして』と言われているので、タイミングを見ながら近い位置でプレーするようにしています。真司くんは前を向いたときが相手にとっても一番怖いと思うので、そういうボールを提供できるように意識していますし、自分がシュートを打つときも、その前に真司くんを使ってから打つとか、2人のコンビネーションをもっと磨いていきたいですね」

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(取材・文 西山紘平)

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