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[MOM237]東京国際大MF若井祥吾(3年)_「前を向いたら好きなことができる」司令塔が全国へ

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.7 関東大学選手権順位決定戦 青山学院大1-3東京国際大 赤羽]

 初挑戦している関東大学リーグ2部では無敗首位。そしてこの日、青山学院大に逆転勝ちして全国大会出場を決めた。「今年一年、上手く行きすぎているんじゃないかというくらい。夢でしかなかったことなので嬉しいです」と笑顔を見せた東京国際大MF若井祥吾(3年=浦和ユース)だったが、チームの中心として戦うMFは攻守に大車輪の働きを見せた。

 東京国際大の縦へ速い攻撃を阻もうとする青山学院大は「前を向いたら好きなことができる」という若井に明らかに手を焼いていた。わずかでもプレッシャーが緩くなると、オープンスペースへ絶妙なスルーパスを配球し、味方のサポートが少なければファウルを誘って攻撃を落ち着かせる。本人はボールを受ける回数の少なさを課題にしているが、高い技術を活かしたドリブル、正確なパスはチームの攻撃を一段階高めるものだった。特に後半は守備面で相手のパスワーク封じにも貢献。終盤、運動量が落ちたことを反省した若井だったが、それでも鋭い出足でプレッシャーをかけ続けて相手に決定機をつくらせなかった。

 10番は貴重なゴールも決めた。0-1の後半12分にDF阿部正紀がPKを獲得すると、若井は迷うことなくペナルティスポットへ足を運び、「一番描いているPK」という右足チップキックで同点弾を鮮やかにゴールヘ沈めた。この同点ゴールで勢いに乗ったチームはその後2点を加えて逆転勝ち。「今年は自分がやってやろう、決めてやろうという気持ちが強いので、PKあっても自分で行きたいと思いますし、打てれば狙っていくし、自分が周りを活かすプレーもしたい」と大黒柱となることを宣言する10番が勝利に大きく貢献した。

 浦和ユース時代はSB、SH、ボランチ、FWもこなした万能型。各ポジションで学んだことを現在、司令塔として発揮している。今でも「レッズの試合は全部見ている」という強い浦和への思いを持っているMFは、全国舞台で印象的な活躍をして、評価を高めることができるか。「自分も目立って、プラスチームの柱として周りも活かすし、勝ちにもこだわるプレーをする」。関東の新興勢力が全国でどのような戦いをするのか。ポゼッションよりもダイナミックな攻撃にこだわるチームをスピードアップさせる司令塔が、全国舞台で東京国際大に新たな歴史をもたらす。

[写真]後半12分、東京国際大は若井がPKを決める

(取材・文 吉田太郎)

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