beacon

2つの信頼が生んだ岡崎の決勝ゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.11 W杯アジア最終予選 イラク0-1日本 ドーハ]

 厳しい試合、もっとも苦しい時間帯に、再びこの男がゴールを決めた。試合終了間際の後半44分、日本は速攻からFW岡崎慎司がドリブルで中央を抜け出し、左サイドのMF遠藤保仁にパスを出す。ここで岡崎は足を止めずにゴール前へ走って行った。ボールを受けた遠藤は、GKを引き付けてから、リターンパスを出す。これを岡崎が無人のゴールにスライディングで流し込み、待望の先制点を挙げた。結局、このゴールを守り抜き、日本は1-0で勝利し、最終予選を白星で飾った。

 試合後、アルベルト・ザッケローニ監督は得点を挙げた岡崎について、「オカ(岡崎)がやらなければいけないことは、まずはゴールを狙うことですから」と言い、「彼にはどんどんゴール前に走ってくれとお願いをしている」と、指示通りのプレーだったと喜んだ。

 昨年11月14日のオマーン戦でも、岡崎は試合終了間際の44分に決勝ゴールを決めている。「スプリントを1回しただけで、厳しいなと感じました」と振り返る猛暑の中で、試合終了間際にも関わらず、PA内まで走り、得点を挙げられた。そこには2つの信頼感があった。

 一つは「ヤット(遠藤保仁)さんなら来そうだなと思っていたので」という、リターンパスを出した遠藤に対する信頼感。もう一つは、ザッケローニ監督からの信頼だ。「あの時間帯までピッチに残れたら、期待されているから期待に応えたいと思います」と、岡崎は言う。

 岡崎は所属するシュツットガルトで、シーズン終盤の11試合フル出場がなかった。それだけに、ザッケローニ監督に応えたいという気持ちも強かったのだろう。日本代表では3月22日のカナダ戦以来となるゴールを決め、指揮官の信頼に応えた岡崎。心身ともに良い状態で、コンフェデレーションズ杯を迎えられそうだ。

(取材・文 河合拓)

▼関連リンク
ブラジルW杯アジア最終予選特集

TOP