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「まずは自分のいいところも、悪いところも分析すること」一問一答でベンゲル監督が中高生選手にアドバイス

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 イングランドの名門・アーセナルのアーセン・ベンゲル監督が25日、埼玉県内で中高生を対象としたトレーニングセッションを実施。事前に開催されたセレクションに合格した「NIKE FC」の中高生選手31名に対して特別指導を行った。トレーニング終了後には質疑応答も実施。世界を目指す中高生たちにアドバイスを送った。

以下、質疑応答要旨
―世界トップレベルで活躍するために必要な要素は?
「まずは技術。その持っている技術をしっかりと、賢く使うこと。あとはもちろん、モチベーションがないといいプレーヤーにはなれない。
 どこのポジションでも、どこからボールが来ても、しっかりとコントロールできるような技術は持っておいてほしい。だからこそ、先ほどのような基礎練習をしているのであって、いつでも自分がボールをコントロールして、支配して、扱えるようにすることが大切。ひとりでも、ふたりでも練習できると思うし、外に出ていろいろな練習を考えて、技術を上げることもできると思う」

―世界トップレベルで活躍できる選手になるために、10代のうちにやっておくべきことは何ですか?
「世界のどの選手も完ぺきではない。まずは自分のいいところも、悪いところも分析すること。まずいいところを見つける。でも自分の悪いところも見る。(その弱点が)チームにとって危ないことになることは良くない。きょう初めて会ったからみんなのプレースタイルは分からないけれど、もちろんいいところを伸ばすことは大事だし、それだけではなくて、自分の危ないところをカバーしていく。そういうところも重要。例えば、GKとして、もうちょっと身長が足りないということは、スピードをつけることも大事だと思うし、あとはゲームを読む力を養うことも大事。身長というのは、あす急に伸びるわけではないし、足りないところをどうカバーするか」

―世界のストライカーと比べて日本のストライカーのいいところと悪いところを教えてください
「特に大きな違いはない。日本人のまずいいところは技術、動き、あとはチームの姿勢、取り組み方も素晴らしい。上手くて、すごくいろいろなところへ動ける選手になってほしい。賢い動き、走り出すタイミングとか、身体が大きくなくても動きさえ良ければ相手に勝てると思う。もちろん、シュートのスキルも上げないといけない。いつでもどこにGKがいるのかということに注意してほしい。あとは少ないタッチでのフィニッシュ。2タッチやダイレクトのシュートも覚えてほしい」

―チーム全体での方針、心がけていることはありますか?
「チームは11人で戦うもの。みんなで勝ちにいこうということを考えている。それは誰もがもっていることで、それへ向けてどうやって取り組んでいくか。テクニックと動きとパスのスピードというところにこだわって、それがアーセナルの強みだと思っているから、それを使って勝ちに行くというところを考えています」

―自分はDFなんですけど、背の高いFWに勝つ秘訣は?
「世界中でも全てのDFが大きい訳ではない。DFとして身長がない分、頑張らなければいけないのはゲームを読んで、相手のFWの前でボールをカットするとか、危ないところを先に潰していくということ。すごく動けて、戦えることは小さいDFの特長だと思う。DFとしてまず考えないといけないのは、ここにいるFWが何がしたいのか考えること。相手のFWの頭の中に入っていって、そのやりたい事を阻止できればDFは勝てる。あとは負けないことが大事。
 最後に……、サッカーで一番大事なことはハッピーになることです」

(取材・文 吉田太郎)

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