beacon

[MOM816]横浜FMユースMF田崎遼太郎(2年)_2発!ピッチ内外で“大物ぶり”発揮の2年生アタッカー

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
adidas CUP 2013
第37回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

[8.3 日本クラブユース選手権決勝 広島ユース1-4横浜FMユース ニッパ球]

 試合の流れを変えたのは、後半途中から投入された2人の選手だった。1点をリードされて押され気味だった横浜FMユースのベンチが動いたのは、後半13分。まずはMF新里涼がトップ下に入り、苦手の守備でプレスの先陣を切ってチームにメッセージを与えた。そして18分に投入されたのが、MF田崎遼太郎だった。「途中から出るということは、点を取って来いということだと思った」と話した2年生アタッカーは、縦へ縦へとぐいぐい仕掛けた。途中出場からわずか7分。主将の早坂翔が右サイドから中央へパスを送ると、タイミングよく攻撃参加して中央へ入り込んだ右DF福田圭佑が右前方へ転回。右、中央、右と振られる相手をよそに、ボールが送り込まれたスペースに走り込んだ田崎は、左足の力強いシュートでゴールネットを揺らした。

 この1点で横浜FMユースは息を吹き返した。チームは延長戦に新里のゴールで逆転に成功。さらに新里が試合終了間際に追加点を挙げて勝利を決定付けた。しかし、気持ちに火のついた田崎は、勝利目前でも立ち止まることがなかった。アディショナルタイム、新里からパスを受けると豪快なシュートを突き刺して自身2点目を奪い取った。大物ぶりを発揮したのは、ピッチ上だけではなかった。試合後の取材対応で優勝の感想を聞かれると「嬉しかったけど、実感がない。何か、みんなが喜んでいるから一緒に喜んでいるというような感じ」と不思議そうに話し、決勝戦で2得点という活躍についても「決勝で2点取るのも、練習で2点取るのも同じような感覚。それ(どのような試合でということ)よりも、もっと良い形で点を取りたい。今日の1点目は、ちょっとストレート気味のシュートだった。もっと外に巻くような軌道の方が良かった。2点目もGKの正面に飛んだ感じだったけど、左の隅を狙うべきだった。もっと『狙ってやったぞ』というシュートにしたい」と淡々と話し、周囲に振り回されない性格や強い向上心を垣間見せた。

 元プロ野球選手の父を持つ田崎は、いずれ野球をやるつもりでサッカーを始めたというが「小さいときから野球をやって肩を壊すといけないという話でサッカーをやらせたみたい。僕も最初はサッカーはあまり好きじゃなかった。でも点を取る度にサッカーが好きになって、今では野球のヤの字もありません」と、今ではすっかりサッカーに夢中だ。積極的に挑戦する態度や秀でた攻撃力は、松橋力蔵監督も以前から高く評価している。その上で、今夏は大会を通じて「今までは、自分のプレーが良ければいいかなと思っている部分があったけど、今大会は調子が悪かったし、チームのために頑張るという気持ちでやってきた。そうすることで、チームのために頑張れたことが個人的な収穫」と話すなど、精神的な成長も見られた。

 今後は、身近な目標への対抗心でさらなる飛躍を期す。田崎は「今は、チームに(大会MVPを受賞した)汰木康也という絶対的なエースがいるけど、康也君が危機感を持つような選手になりたい。ほかのクラブでは、2年生でも井手口陽介とかがガンバ大阪ユースで中心選手になっているし、負けていられない」とどん欲な姿勢を見せ続けた。「日本一も通過点」とは使い古された言葉だが、田崎の進む道においては本当に当てはまるのかもしれない。

(取材・文 平野貴也)
▼関連リンク
【特設ページ】第37回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

TOP