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プロ選手不在で急遽Jデビューをはたした福岡大GK藤嶋「結果を出さないと評価されない」

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[8.10 J1第20節 横浜FM2-1鳥栖 ニッパ球]

 サガン鳥栖にとっては悪夢のような一週間だった。3日に行われた第19節・柏戦以前の18試合では、GK赤星拓とGK奥田達朗のどちらかが鳥栖のゴールを守っていた。柏戦に先発したのは赤星だったが、前半に相手選手と接触するとハーフタイムに奥田と負傷交代。5日には左肋骨骨折で全治3週間であることが発表された。

 翌6日、今度は奥田が練習中に負傷。右足関節外側靭帯損傷と内果骨折で全治3か月の重傷を負った。GK室拓哉はすでに手術を経て長期離脱中のため、トップチームに登録されているGKが全員離脱という緊急事態となった。そして迎えた横浜FM戦で鳥栖のGKを務めたのは、福岡大に在学中の特別指定選手の福岡大GK藤嶋栄介だった。

 突然訪れたJデビュー戦、相手はリーグ3位の得点力(35得点)を誇る横浜FM。試合開始早々にバックパスをロングフィードして“ファーストタッチ”を済ませると、「日本一のキッカー」(藤嶋)であるMF中村俊輔の直接FKやMF中町公祐のミドルシュートをセーブし、緊張した様子もなく終始落ち着いたプレーを見せた。2失点は喫したものの、スクランブル出場のデビュー戦としてはまずまずの出来といえる。しかし、藤嶋は自身の出来に納得していなかった。「シュートストップだったり、クロスへの飛び出しだったり、ストロングポイントを出せたことはよかったんですけど、やるからには結果にこだわらないと。そこがアマチュアとの違い。結果を出さないと評価もされないので、もっともっと頑張らないといけない」。

 ベンチに控えのGKがいないという異常事態。現状では次節もGKは藤嶋1人ということになるが、「数日以内に発表できるようにと思っている」と尹晶煥監督はGK獲得に向けて動いていることを明かした。

 大役をやってのけた藤嶋だが、翌11日には福岡大が総理大臣杯の初戦を迎えるため、1人チームを離れ、“鳥栖の藤嶋”から“福岡大の藤嶋”に戻る。「明日の朝イチの飛行機で大阪に行って(福岡大に)合流します。休んでいるヒマはないので。自分は若いのでやるしかないです」。開幕以来全試合失点中の守備陣を立て直すため、そして、母校を日本一へと導くために、“日本一忙しいGK”は飛躍を誓っていた。

(取材・文 奥山典幸)

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