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個人技からダメ押し弾の横浜FM俊輔「ヨレヨレでした」

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[8.17 J1第21節 F東京0-2横浜FM 味スタ]

 スタンドからは、完璧なシュートに見えた。キックオフ時、28.6度という蒸し暑い中で行われた試合は、1-0で横浜F・マリノスFC東京にリードしたまま、試合終盤を迎えた。F東京の反撃に耐え続けた横浜FMは、後半44分に前線のFWマルキーニョスにボールが入る。そのマルキーニョスからパスを受けたMF中村俊輔は、対峙したDFを右足、左足、右足と3度の切り返しで外し、左足で強烈なシュートを叩き込んだ。

 勝利を決定づけるゴールが決まると、横浜FMのサポーターは俊輔のコールを続けた。大きな意味を持つ、見事なゴールだったが、中村は「ヨレヨレでした」と苦笑した。それでも、試合終盤も、冷静に状況を判断していたことは、このコメントから分かる。

「やっぱり残り時間が少なかったですし、相手はずっと攻めていた分、後ろからダッシュで追いかけてくる選手が少なかった。ボールを受ける前に首を振って『前の選手が戻ってきていないな』、自分の目の前の選手と1対1だから、時間をかけても、なんとか振り切れば、周りも挟みに来る選手がいないと分かっていたので。ちょっとヨレヨレでしたけど、切り返して、うまくシュートが足に乗っかってくれました。マルキへのパスも考えたんですが、ちょっとDFがタイトに来ていたので、自分で行こうと気持ちを切り替えました」

 首位に立っていた広島が名古屋と1-1で引き分け、横浜FMは首位に立った。だが、「全然、気にならない」と中村は言う。「去年もこの時期にちょっとガス欠みたいになって、3連敗を喫してしまいましたから、そういうことがないように。ベテランが多いし、マルキがケガをしたりとか、いろんなことがあると思う。今日は守備的な選手が途中出場して、良い仕事をしてくれましたが、そういうチーム全体、スタッフも含めての力が、大事になってくると思う」と、昨年の教訓を生かしたいと語った。

 厳しい暑さの中で試合は続くが「暑い方が良い」と、中村は言い「相手のプレッシャーが緩むから」と涼しい顔で続ける。そして「なんだかんだ言っても、最後はメンタルですしね。チーム内にも40歳 (ドゥトラ)がいるわ、37歳のストライカー(マルキーニョス)がいるわ、モジャモジャの頭がいるわ(中澤佑二・35歳)…。そういうプロフェッショナルな選手がいるから、やっぱり気持ちが引き締まりますよ」と、2試合連続ゴールを挙げた35歳の背番号25は、ベテランが多いことを心配する周囲の声も一蹴した。

(取材・文 河合拓)

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