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クラブでの鬱憤ぶつけた香川「ゴールは常に自信をもたらす」

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[9.10 キリンチャレンジ杯 日本3-1ガーナ 日産ス]

 わずかにだが、気持ちも晴れたようだった。0-1で折り返した後半5分に鮮やかなミドルシュートで同点ゴールを決めたFW香川真司(マンチェスター・U)は「ああいうシュートが入ったのは一つ自信になる」と安堵の表情をのぞかせた。

 今季のプレミアリーグでは開幕から3試合連続で出番なし。1日のリバプール戦はベンチ外となるなど、デイビッド・モイーズ監督が就任した新体制の下、苦境に立たされている。「気持ち的にゴールは常に自信をもたらしてくれる。クラブと代表では場所は違うけど、いい形で帰れる。これをクラブで継続して、チャンスが来たときに結果を残せるようにしたい」と前を向いた。

 後半5分、こぼれ球を拾ったDF長友佑都から左サイドでパスを受けると、ドリブルで中に切れ込んだ。「攻撃のときは切り込んでシュートというイメージがあった。そこは空いていたし、そこを突けた。中に入ったとき、DFがいなくて、もう一つ持ち込んでシュートを打てた」。クラブでの鬱憤をぶつける渾身のひと振りは、対峙したDFの股間を抜け、ニアサイドを破った。

「コースは狙ったけど、うまく股を通った。ニアを狙おうと思っていたけど、股までは考えてなかった。正直、シュートシーンはあんまり覚えてない」。無我夢中のゴール。得点後は右拳を小さく握りしめ、控えめなガッツポーズを見せた。

「前半、自分のミスで失点した。チームとしても無失点で終えたかった試合。ああいう簡単なミスをしてはいけない。その責任もあったし、逆転しなきゃいけないと思ってすぐに気持ちを切り替えた」

 そう得点後の心境を語った香川。前半24分、左サイドでのバックパスがミスとなり、カウンターから先制点を許した。必死に戻った香川のスライディングタックルでボールが相手選手の目の前にこぼれる不運もあったが、失点への責任を痛感していた。「ハーフタイムには自分で自分にプレッシャーをかけた。これを乗り越えられるかと」。意地の一発だった。

「僕は今を見ているわけではない。今、(クラブで)試合に出ていないことは大きな問題かもしれないけど、帰ってからチャンピオンズリーグもある。(直近のリバプール戦で)チームも負けている。チャンスは絶対に出てくると思っている」

 この日のゴールが復活の狼煙となるか。14日にはホームでのクリスタル・パレス戦、17日には欧州チャンピオンズリーグ開幕戦のレバークーゼン戦と連戦が続く。いい形で代表戦を終えた日本の10番は、早くもクラブでの“闘い”に目を向けていた。

(取材・文 西山紘平)

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