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原口元気インタビュー 「レッズの中で一番点を取りたい」

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 埼玉県熊谷市出身。浦和レッズジュニアユースから浦和ユースに上がり、高校2年時に高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権を制すると、その3か月後の09年1月に17歳で浦和レッズとプロ契約をかわした。プロ生活5年目を迎えた22歳のFW原口元気は今シーズン、すでに8得点を挙げており、11年に記録した自己最多の9得点に迫るなど波に乗っている。ゲキサカ直撃インタビュー第1弾では、プレーへのこだわり、そしてそのプレーを足元から支えるスパイクへのこだわりなどを聞いた。

―プロ5年目の今季、ここまでを振り返ってみて自己評価はいかがですか?
「浦和レッズの攻撃は1トップ2シャドーという形。僕は昨シーズンは1トップをやっていましたが、今シーズンはシャドーでプレーしています。去年と比べると、前を向く回数が多くなったので、今年のほうが自分の良さは出せていると思います。でも、もっと結果にこだわってやっていきたいですね。プレーの質自体は50点くらい。まだまだ改善できるところはあると思っています」

―意外と自己採点が厳しいですね。どのようなところが改善ポイントなのでしょうか。
「オフザボールのところですね。ボールを持ったときは強みを出せていると思いますが、ボールが入ってこない時間帯で消えてしまうことが多いんです。オフザボールのときのフリーランニングの質と量を上げていけば、試合にも90分間通して絡めると思うし、チャンスも増えると思うので、そこはもう少し改善したいところですね」

―キレ味で勝負する原口選手としては夏場の連戦はきつかったんじゃないですか?
「やはり、シーズン序盤の方がキレが出ますね。夏場はどうしても少し落ちてきます。でも、また秋口になればキレが出てくると思っているので、夏場は頑張りどころ。ただ、僕のポジションはどれだけ“一瞬”で仕事ができるかが大事だと思うので、“一瞬”で輝きたいと思ってやっています。もちろん、その一瞬以外でもボールを失わないことやフリーランニングでスペースを突いていくことは大事ですが、やはり“一瞬”を狙っているという感じです」

―原口選手の特長として、試合の終盤にゴールを決めることが多い。必然的に勝利を決定づけるゴールになります。
「試合というのはやはり最後が勝負になってくると思うんです。試合時間が80分、90分という相手が疲れてきたところで、輝ける一瞬が訪れることが多いと思います。そこはチャンスだと思って、常に考えています。70分間ダメでも80分、90分で仕事ができればいいかなと思っていますね」

―ということは、体力そのものにも自信があるということですか?
「体力があるかどうかではなく、疲れた状況でもスプリントやキレが落ちないことが、僕の特長だと思っています。試合の前半はやはり相手も頑張ってきます。だからどうしても難しいところもあると思います。でも最後の最後、相手が踏ん張れない時間帯になれば、自分は勝てるところがある。ですから、そこは常に狙っています」

―最後の最後に輝くため、あるいは一瞬で輝くため、スパイクが果たす役割は大きいのではないでしょうか。こだわりを教えてください。
「僕のスパイクへのこだわりの一つは、足がズレないことですね。スパイクの中で足が完璧に固定されていること。僕はプレースタイル上、切り返すことが多いので、足がズレてしまうとキレが出ないんです。ですからズレないようにしてほしいということはナイキの方にもお願いしています」

―シーズン中に足の形状や大きさが変わったりもするのですか?
「それは変わらないですが、夏場になるとスパイクの中でもすごく汗をかくので、中で滑ったりするんですよ。でもナイキのスパイクは滑らないし、後半の最後になってもスパイクの形状が変わらないんです。革のスパイクだと試合の最後のほうは伸びてきちゃったりするんですが、ナイキのスパイクはずっと固定されているので終盤になっても何も影響がない。汗で重くなることもないし、いいなと思います。満足度は高いですよ」

―原口選手は汗をかく方ですか?
「たぶん結構、汗かきの方だと思います。革だと(汗を吸って)伸びますからね。その点、ナイキのスパイクは軽いし、ドリブルや、一瞬で仕事をするアタッカーにとっては一番いいスパイクだと思います」

―ゴール数も自己ベストを更新しそうです。どのような目標だったのですか?
「今シーズン、ゴール数についてはどちらかというと目標設定はしていなかったんです。チームが優勝できればいいと思っていたから。でも、そうやってプレーしていくうちに、自然とゴールも積み上がってきた。シーズンの残りもそのスタンスでいきたいなと思います。もちろん、10点取りたいとか15点取りたいとか、そういう気持ちはありますが、それよりも、例えば自分が15点取ってレッズが3位に終わるより、10得点10アシストでレッズが優勝したほうがうれしい。今はそういう風に考えています」

―得点に具体的な目標数字を設定しないのは、チャンスメイクも自分の持ち味だと思っているということなのでしょうか。
「チャンスをつくることも仕事だというより、たとえ守備だけになったとしても、だれかが点を取って勝てればいいという考えです。そういう試合もあると思うんです。もちろん、自分が点を取って勝てたらうれしいし、気持ちいいですが、それより勝ち点3を積み上げていくほうがうれしいですね」

―点を取るのが自分ではなくてもいいということなんですね。
「去年、1トップをやっているとき、自分の中で勝手に“1トップは点を取らないといけない”と思い込んでいて、けれどもそれがすごく難しくて、結局、得点数も伸びなかったんです。でも、今シーズンは1トップの(興梠)慎三くんが点を取ってくれる。だからシャドーの僕としてはチャンスメイクすることも多くなったので、得点そのものというより、チームを勝たせる動きをたくさんしたいと思っているんです」

―昨シーズン、1トップをやったことで今、生きていることはありますか?
「1トップはプレッシャーが厳しい。常にセンターバック2人に見られているし、センターバックのプレッシャーというのは激しいものです。そういう中で1トップをやったことで、今シーズン、シャドーに下りてきて、簡単にターンできるなと思うようになったというか、余裕ができたのが大きいかなと思います」

―チームの成績を第一に考えている様子ですね。だれがというのではなく、前線の絡みで多くのゴールを取れればいいという考えなのでしょうか?
「そうですね。前の3人、1トップ2シャドーがみんな10得点ずつ取れればいいかなと思っています。そういうバランスのいいチームが良い攻撃をできているんじゃないかなと思いますね。でも、やっぱりその中で一番点を取りたいですけどね」

―得点数で興梠選手と競っていますね。
「慎三くんも絶対に10点以上いくと思いますし、僕もいくと思いますけど……、やっぱり慎三くんには負けたくないですね(笑)」

―チーム得点王は譲りたくないということですね。
「ゴール前で慎三くんがフリーでいたら、自分が点を取れる位置にいたとしても確率の高いほうに出すとは思います。だから特にこだわりがあるわけではないんですが、やっぱり自分が一番取れたらいいですよね(笑)」

(取材・文 矢内由美子)

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