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[MOM835]北越高MF山本隼平(2年)_先制ミドル決めたU-16代表候補の司令塔

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.14 高円宮杯プリンスリーグ北信越第17節 北越高3-2創造学園高 北越高G]

 チームの苦境を打開する先制点だった。北越は徹底してサイドに人数をかけて縦へ突破する攻撃が持ち味だ。しかし、5バック気味に守る創造学園はゴール前の人数が多く、サイドからクロスを入れても跳ね返される場面が続いていた。攻めていてもゴールを奪えず、相手のカウンターの脅威にさらされる嫌な展開。状況を変えたのが、2年生MF山本隼平のミドルシュートだった。39分、相手のクリアが小さくなったミスを見逃さなかった。ボールを奪うと、咄嗟に左足でミドルシュート。「ミドルは全然得意じゃないし、たまたま。左でシュートを打つこともあまりない」と謙遜したが、押さえの利いたコントロールショットは、見事にゴール左上へ決まった。試合は後半の立ち上がりに連続失点を喫したことで苦しくなったが、終盤に再逆転。山本は「自分が1点決めたけど逆転されてしまって、チームの気持ちが落ちていた。それでもみんなでゴールを取って勝てて良かった」と安堵の表情を見せた。

 U-16日本代表候補に選出された経験も生きている。「代表を経験して、もっと早い判断でパスを出すことや、相手を見てゲームを作ることを今までより意識するようになった。きょうの試合では、もっと相手の背後を狙えば良かったかなと思う」と刺激を受けて成長中だ。陣頭指揮を執っていたアントニオ・カルロス・アンドレコーチも「頭がいいし、コントロールもいい。周りが見えている。まだ2年生だから、もっと伸びる。来年、面白い選手になることは間違いない」と太鼓判を押す。山本は、サイド攻撃中心のチームにあって、中央でかじ取り役を務める重要な存在で仲間からの信頼も厚い。3年生で個人技に優れた右MF林湧祐は「ガッツのある奴が中央にいるのは心強い。ボールを預けても奪われないという安心感があるし、前にも展開してくれるので、すごく信頼している。信じて前に走れば、精度の高いパスを出してくれる。あんなに小さいのに体幹も強くて、上手い。ビックリする。一番いなくてはいけない存在だと思う。同じチームにいてくれてありがたい」と絶賛した。

 勝利に貢献してこそ、満足がある。リーグ戦は、もう大詰め。この日の勝利で残留を決めて当面のチーム目標は達成した。次に目指すステージは、高校選手権の全国大会出場だ。170cmに満たない小柄な体でチームを操る2年生の司令塔は「みんなで全国大会に行きたいので、もっとチームで盛り上げていきたい。コミュニケーションを深めて連係を取ったり、全員で走ったりすることが必要だと思う」と課題を挙げた。苦手と話す取材を受けて緊張感に包まれていたが、話す言葉の節々に「もっと成長したい、もっと成長しなければ」という気持ちが漂っていた。

(取材・文 平野貴也)

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