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2ステージ制導入が決定、15年から5シーズンを目途に

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 Jリーグは17日、都内で理事会を開き、2015年シーズンからJ1リーグの大会方式を前後期の2ステージ制に変更することを決定した。

 2ステージ制は04年以来、11年ぶりの復活となるが、15年シーズンからは新たに前後期上位2チームが出場するスーパーステージを導入。まず前期1位と後期2位、前期2位と後期1位が1回戦を行い、勝者が2回戦に進出し、チャンピオンシップ進出チームを決定する。チャンピオンシップでは年間勝ち点1位チームとスーパーステージ勝利チームが一発勝負で対戦し、年間優勝チームを決める。

 前後期の上位2チームの中に年間勝ち点1位チームが含まれる場合や、当該チームが重複する場合のスーパーステージの開催方法、AFCチャンピオンズリーグ出場権をどのように与えるか、賞金の分配方法などは決定次第、発表される。

 理事会は予定時間を大幅に超え、理事会後の記者会見は予定より1時間遅れてスタート。会見に臨んだ中野幸夫専務理事は「1ステージ制が王道であり、望ましい姿だが、現在のJリーグを取り巻く危機的状況を打破するために大会方式を変更することで決議した」と説明した。

 大会方式の変更の背景にあるのは、年間入場者数の減少(J1年間平均入場者数は08年の1万9202人から12年は1万7566人に減少)、Jリーグの収入の減少(08年の128億円から12年は119億円に減少)、メディア露出の減少など。中西大介事務局長は「来シーズン、このままではJリーグの収入が10億単位で落ち込む可能性がある」と明かし、「15年から(2ステージ制を)実施することで、(スポンサー等から)14年も支えてもらう体制をつくることができ、来年も今年の収入を維持できる。今年の収入を維持できるということは各クラブへの配分金も確保できる。それと同時に、育成の投資を減らしてはならないという考え方があり、それを確保できることは重要だと考えている」と説明した。

 Jリーグが盛り上がる「ヤマ」を年間に複数回つくることでメディア露出の拡大を図りたい狙いがある。地上波でのテレビ放送を増やし、新たなファンを獲得したい。中西事務局長は「Jリーグの試合は技術的にも戦術的にも高いことは東アジア杯でも証明されている。それを幅広く知ってもらえていないことが問題で、どうすれば幅広くJリーグの魅力ある試合を知ってもらい、見てもらうことができるのか。そこにはまとまったお金の投資が必要ではないか」と語った。

 新規ファンの開拓を主眼に置いた大会方式の変更は、現行ファンの反発にも遭っている。週末のJリーグでは各会場で2ステージ制導入に反対する横断幕が掲げられ、この日も会場の外にはサポーターが集まり、「2ステージ制断固拒否」などの横断幕を広げていた。

 年間勝ち点1位のチームが優勝できない可能性もあるリーグ戦の不公平感、十分な説明がないままの決定。中野専務理事は「サポーターの方々の隅々にまでご理解いただく努力ができなかったことは申し訳ない。こうしたコアなサポーターの方々には感謝もしているし、お詫びを申し上げたい」と謝意を示したうえで「こうした熱心なサポーターの方々をもっと増やさないといけないという危機感がある。ライトな層の方々にもっとスタジアムに足を運んでもらうために『ヤマ』をつくり、こうしたファンをもっと増やすためにこうした方策を決めたことを理解いただきたい」と理解を求めた。

「1ステージ制がいいというのは認識している」と話す中野専務理事は2ステージ制導入にあたって「ある一定の目標値を立てたい」とし、「集客数やクラブの収入構造、経営状況」などに応じて設定した目標を達成したときには再び1ステージ制に戻す考えを示した。同時に「結果がそうではない場合も、再検討すべきなら謙虚に再検討すべきだと思う」と、“結果”が芳しくない場合にはやはり1ステージ制に戻す可能性も示唆した。そのうえで、目標を達成するための目途として「1、2年とは思っていない」と指摘。「ある程度の時間を費やした中で結果を導かないといけない。イメージとしては最低5年ぐらいはかかるのではないかと思っている」と語った。

(取材・文 西山紘平)

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