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高校トップレベルがすでに実践しているフィジカル強化の新たな取り組み

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 今夏に行われたサッカー全国大会。真夏の福岡で平均気温35度を超える猛暑の中、都道府県代表の高校55校が日本一を争った。7日間で最大6試合をこなす過酷な日程。技術や戦術以上にタフさが求められる中、1回戦から3回戦までの3連戦を勝ち上がり、ベスト8入りを果たした高校は、体力、フィジカル、そしてメンタルの強さで他校を上回っていたという見方もできる。

 今大会で、準優勝した流通経済大柏(千葉)を含むいくつかの強豪校が、試合中の選手個々のパフォーマンスデータを計測する新たな取り組みを行った(詳細はこちら)。シューズ内に『adidas miCoach SPEEDCELL』を搭載することで、選手のフィジカル能力がどのように発揮され、過酷な条件下でどのように変化しているのかを計測。選手の走行距離やスプリント数といった生のデータを得ることで、それぞれの特徴を把握し今後のさらなる強化に役立てようという試みだった。

 実際のデータを見ていこう。例として、攻守においてチームの中心となるMFの選手のデータを取りあげてみる。

 全国大会初のベスト8入りを果たした帝京大可児(岐阜)の12年U-17日本代表MF三島頌平主将(3年)は3回戦の國學院久我山戦(3-0)で走行距離8kmを記録。そのうち、時速17km以上で走った距離(以下、高強度の距離)は約10%の863mという結果だった。

 札幌大谷(北海道)のMF澤井嶺(3年)は1回戦の流通経済大柏戦(0-7)で走行距離8.34km、高強度の距離が約12%の981m。横浜創英(神奈川)のMF小竹皓太(2年)は2回戦の近大附戦(0-1)で走行距離8.12km、高強度の距離が約15%の1.21km、和歌山北(和歌山)のMF宮田廉(3年)は1回戦の中京大中京戦(0-2)で走行距離7.196km、高強度の距離が約20%の1.413mを記録した。

 その他のチームのボランチと比較しても、35分ハーフの1試合における走行距離は平均で8~8.5km、そのうち高強度の距離は約13%程度を占めるというのが、全国大会に出場してくる高校トップレベルの一つの指標と言えそうだ。その中でどのチームも、高い運動を継続的に行える『高強度の距離』に注目しているという。

 走行距離はチームのカラー、戦術、ポジションによって大きく左右されるが、「高強度の距離・割合」は個々の選手のフィジカル能力を如実に表す一つの指標だ。継続的に高い運動強度でパフォーマンスを発揮できる能力。日本のトップ選手や海外のトップ選手は1試合の中で高強度の割合が20%を常に超えるという。今まで目に見えなかった「サッカーの動きの中のフィジカル」をデータによって明らかにし、特徴を把握することで、強化につなげることができる。

 こうした選手のパフォーマンスをデータで把握する取り組みは今後、高校年代においても、さらに広がっていくだろう。世界を見ても、2012-13シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝でバイエルンのフィジカルがバルセロナの華麗なパスサッカーを封じ込め、欧州最強の称号を獲得した。フィジカルフィットネスは現代サッカーで最も重要な要素となってきている。

『adidas miCoach SPEEDCELL』を導入した各校は今大会を通じて計測した数値をもとに選手個々の強みや弱みを分析し、今後のトレーニングやチーム強化に生かしていくことになる。フィジカルフィットネスとデータの融合。この新たな手法をモノにしたチームが“冬の主役”に躍り出ても不思議はない。

▼『adidas miCoach SPEEDCELL』の詳細はこちら

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