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9試合9得点、再び輝きを放ち始めた G大阪FW宇佐美「帰ってきて良かった」

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 2シーズン前、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)の一員として、日本人で初めてUEFAチャンピオンズリーグ決勝でベンチ入りした宇佐美貴史。ホッフェンハイムで苦悩の1年を過ごした後、21歳の若武者はJ2のガンバ大阪に復帰した。J1昇格を至上命題に掲げるチームにあって、復帰後の9試合で9得点と、圧倒的な数字を残している。G大阪の得点源となり、再び輝きを放ち始めた日本の至宝は、「チームを背負う存在になりたい」という決意を口にした。

――ドイツから戻り、J2で大活躍をされています。宇佐美選手は、ご自身のパフォーマンスにどのような感触をお持ちですか?
「自分たちと対戦するときに、相手のサポーターの人数や雰囲気もそうですし、相手チームの迫力というか、『一泡吹かせてやろう』という感じでくるので。そういうのを含めて、難しい試合が続いていますし、思っていたよりとてもハードなリーグだなと思います」

――もっとやれるという感じはしますか?
「やれていないとは思わないですし、これ以上やれないとも思いません。今は最低限の結果は出せているかなという感じですね」

――試合の中で、激しくマークが来ていると感じることはありますか?
「試合数をこなしていくにつれて、自分がフラッと動き出したときに、相手がマークを受け渡す声が聞こえてくるようになりましたね。割とマークに激しく来られたりしますが、『何番がそっちに行くぞ』というのではなくて、『宇佐美がそっち行ったぞ』って言われるのを最近は聞くので。そういうところでは、ある程度注意されているのかなと思います」

――そういうのがあると、燃えますか?
「いや、燃えるというか、全然気にしないタイプですね。それを突破してやろうとかも思わないですし、その辺はフラットにできるというか。力んでも良いことはありませんし、ビビっても良いことはないので。そうやってマークされたりすることには、慣れている方なので『いつものあれか』という感じで、結構、受け流してやっています」

――以前はJ1で、今はJ2と違いはあると思いますが、ドイツで2年に渡ってプレーして、日本に戻って来てから『ここができるようになった』と思うところはありますか?
「今の(中央の)ポジションはドイツでもやっていなかったですし、ポジションが変わるとプレッシャーを受ける状況とか、全部が変わるので。まっさらな状態でスタートしている感じです。サイドで張るのと、真ん中で(ゲームを)つくりながらやるのとでは、やることも違います。試合中にあらゆる方向からプレッシャーを受けることもありますし。なので、全然違うスタイルで今はやっているので、あまり意識しないです」

――ポジションの変更に戸惑いは?
「ありませんでしたね。むしろ、こういう感じで、真ん中でやりたいなとずっと思っていたので。サイドで張って、ウインガーとしてやるとか、サイドハーフでやっていくというのも魅力は感じますけど、真ん中に入ってどんどんボールが自分に入って来たり、自分がボールを動かして流れをつくれたりするなら、楽しいやろうなと思っていたので。今は、それをやらせてもらえている感じです」

――そういう新たな役割をこなしながら結果が出せているのは、自信になるものですか?
「そうですね。結果は、どこのカテゴリー、どのレベルにおいても大事です。むしろ、結果だけで良いというくらい、結果は必要なものなので。今は1試合1点に近いペースで得点できているので、これくらいのペースで続けていければ、と思っています」

――現段階で、日本に戻ってきて良かったと感じていますか?
「はい。オレには『サイドアタッカーの選手』っていうイメージがあったと思うし、そこでの突破からシュートという部分が、代名詞のように思われていたと思うんです。ドイツに残っていたら、またそういう役割をしていたと思います。ガンバに帰ってきてから、健太さん(長谷川健太監督)がオレのことをしっかり見てくれて、『前の方がいい』とポジションを与えてくれました。今までプロになってからやっていたスタイルと全然違うスタイルでやれていますし、こういうスタイルを見つけられたことも収穫やと思います。結構、自分でも、『こういうこともできたんや』っていう発見がありながらなので、充実していますね。もちろん、ドイツでやってきたことを一回『無し』とするわけではありませんが、経験を積んで戻ってきて、やることやスタイルは(日本で)ゼロからスタートしました。その辺は、やっていて楽しいですし、充実感もあるので、帰ってきて良かったなと思います」

――子供の頃にイメージしていた21歳の宇佐美貴史と現在の宇佐美貴史。ギャップみたいなものはありますか。たとえば、バイエルンに行ったときは、自身の想像を越えたと思うのですが。
「だいぶ、越えましたね。イメージでいうと、今も遅れてはいません。23歳で海外に行きたいと思っていたので。(2014年の)W杯に出て、W杯で何かしらアピールして、ヨーロッパに出たいと。それを4年早くでバイエルンに行った。代表に入れていないという点で見れば、イメージより遅れているところもありますが、相対的には遅れていません。でも、23歳なんて、あっという間にやってくるので、すぐにイメージより遅れ出してしまうんじゃないですか?」

――そうならないためには?
「今の現状で自分らしいプレイを続けていくことですかね。今はもう『23歳で海外に出たい』とか、まったく思っていません。今の自分、今のチーム、今年のこと、そういう近くにあることしか目に入っていません。『23歳でまた海外に行きたい』とか『今年のシーズンオフにヨーロッパに帰りたい』とかはないですね」

――では、ヨーロッパで、もう一回やりたいという気持ちは?
「それはあります。しかも、ビッグクラブからオファーが来てとか。そういうのが理想です」

――ビッグクラブといえば、どこのクラブでプレイしてみたいですか?
「理想中の理想は、やっぱりバルサ(バルセロナ=スペイン)ですよね。夢(ゆめ)の中の夢というか。誰だってそうだと思いますけど。バルサでやれれば、楽しいと思います」

――現在の話に戻しますが、宇佐美選手は中学2年でユースチームに昇格し、高校2年のときにトップチームに昇格し、常に先輩がいる環境でした。今は年下の選手がいるG大阪に戻り、責任感やチームを背負っているという感覚はありますか?
「チームを背負っているとは思いませんが、背負いたいとは思います。周囲からも『背負っているな』と思われたいですし、『背負っているな』と言われたいです。オレが背負っているとかは、自分では思いませんね」

――ユース時代は先輩に気を使っていたと思いますが、今は?
「全くないですね。生意気とか言われるかもしれませんが、向こう(欧州)にはそういうのはないし、逆に上下関係がまったくないのは向こうの良いところだと思うので。向こうでは、年齢が上の選手に対しても、18歳の選手とかが平気で罵声を浴びせます。そういうところは向こうの良いところだと思うので。サッカーをやっているときは、まったく年齢の上下は意識しません。それは向こうに行って、良い意味で変わったところかなと思います」

――そういう面は、G大阪にフィードバックしているのですか?
「もちろん、そうですね。ガンガン要求できています。むしろ思ったことを言わないと、伝わらないし、良くもならないので。要求して、もしも向こうが違うことを考えていて、ピッチ上で言い合いになるならば、言い合えばいいと思います。ただ、先輩を敬うっていうのは、日本の良いところだと思うので、ピッチ上では上下関係がなくても、ピッチ外では上下関係があるというように、両方の良いところを取ればいいと思います。……と言っても、オレはあんまりピッチを離れても、上下関係を気にしないタイプなんで(笑)。気にしないというか、ガンバは良い人ばかりなので。タメ口で喋ってもあまり怒られないから、それに甘えちゃいますね。ちゃんと『先輩』とかは思っていますよ。でも、喋り方とかは……ね」

(取材・文 河合拓)
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