beacon

ヘルタ移籍、“代表辞退”を経て細貝が充実の代表復帰

このエントリーをはてなブックマークに追加

 6月のコンフェデレーションズ杯以来の代表復帰となったMF細貝萌(ヘルタ・ベルリン)は心身ともに充実した状態で日本代表に合流した。今季から加入したヘルタでは開幕から8試合連続の先発出場。ボランチの中心選手として1部復帰を果たしたチームを引っ張っている。

「ヘルタの戦術とは違うけど、当然、ボランチでやっている感覚はレバークーゼンにいたときよりもある。そのときよりはいいプレーができるかなと思う」

 昨季まで所属したレバークーゼンでは練習から本職とは違うSBでのプレーが続いた。クラブではSB、代表ではボランチという“兼任”は気持ちの切り替え以上に、実際のピッチ上での切り替えが難しかった。

「レバークーゼンにいたときと比べて精神的に変わることはないけど、ボランチとSBではプレッシャーのかかり方が違うので、感覚はまったく違うものがある」

 ヘルタへの移籍を決断した背景には、来年のブラジルW杯を見据えたとき、クラブで出場機会をつかむことが代表での定位置獲得につながるという考えもあった。

「もう27歳で、代表であまり試合に出られていない状況は厳しいと思っていた。自分が代表のためにどれだけできるか、どれだけ代表の力になれるかという意味で、貢献度は低いと思っていた。クラブで試合に出ることが代表のためにもなるんじゃないかと」

 シーズン開幕当初に行われた8月14日のウルグアイ戦前には「今はヘルタでのプレーが必要で、ヘルタでの毎日の練習が必要」と、クラブに専念したい意向を日本協会側に伝え、招集を見送られた経緯もある。「監督もいい気分はしないかもしれない」と、代表から遠ざかるリスクも理解したうえでの決断だった。

 コンフェデレーションズ杯後、ボランチではMF山口螢(C大阪)も日本代表に定着。新たなライバルの台頭に「彼とのプレーは初めてで、彼から学ばないといけないことも多い。ボールを落ち着いて回すこともできるし、守備も強くいける。ボランチとしていい選手だなと思う」と刺激も受けている。

 日本代表におけるMF遠藤保仁、MF長谷部誠という絶対的なレギュラーを脅かし、控えから脱却したい。ヘルタへの移籍、“代表辞退”。すべてはブラジルW杯で主力としてピッチに立つために、細貝の挑戦が再び始まる。

(取材・文 西山紘平)

TOP