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[MOM869]青森山田MF石井光(3年)_閃きと技術備えた名門の10番

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.26 全国高校選手権青森県予選決勝 青森山田8-0八戸学院野辺地西 青森総合]

 青森山田の名将・黒田剛監督が「相手の逆を突く動作とか、狭いところで落ち着いてパスを出せるとか、キープ力があるとか、相手が予期していないプレーをパッと閃きでできるプレーヤーですよね」と賞賛するMFが、10番を背負う石井光(3年)だ。負傷を抱える中でのプレーで本人は「まだできます」と満足していなかったが、その存在感は名門の中でも光っていた。

 ダブルボランチを組むMF山田武典主将(3年)と攻撃を組み立てるが、後方で長短のパスを操る山田に対し、石井は突破口、フィニッシャーの役割も担う。登録身長167cmと決して大柄ではないが、技術と相手の逆を取る判断力、そして勢いを持ってDF間へ飛び込む鋭い動きで局面を打開。この日は前半17分、正面からドリブルでDF間に強引に潜り込むと、相手DFがPAでたまらずファウルを犯してPKを獲得する。先制点につながる動きを見せた石井は29分にも、右クロスのこぼれ球を拾うとシュートモーションから切り返しを選択。そしてDFを外して小さな振りから左足で撃ち抜く。これはクロスバーを叩いたものの、跳ね返りをFW李相赫(3年)が決めて2-0となった。

 石井はPA付近で非常に多くボールに絡んだが、多少味方からのパスがずれてもコントール。失わずに横パスを繋ぐと縦へのスイッチも交えて攻撃を繰り返した。そして「監督にどんどん(PAへ)侵入していけと良く言われるので、ドリブルだったり、パスだったり、自分とタケ(山田)のところでスイッチ入れることを意識してやっている。そこはできてよかった。一番得意なのはボールを止める技術だったり、パスの精度なんですけど、周りに人がいないと自分で突破できる選手ではない。だから周りとの連係で入っていくことを意識しています」という石井は4-0の後半16分、山田のループパスに反応。相手の深いディフェンスラインのその背後を取って右足アウトサイドでの1タッチシュートでゴールヘ押し込んだ。

 自身としても、チームとしてもまだまだいいプレーができると確信している。「自分たちのパスサッカーで崩してという点はあまりなかった。全国では崩して点取れたらいい」。技巧派揃う世代の10番が、そのゴール、パスで歴史を変える。

[写真]後半16分、青森山田MF石井が右足でゴール
 
(取材・文 吉田太郎)
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