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[MOM870]東海大仰星GK加藤広通(3年)_鎖骨骨折の守護神が見せた“恩返し”のPK4セーブ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.27 全国高校選手権大阪府予選6回戦 東海大仰星0-0(PK5-4)大阪桐蔭 J-GREEN堺]

「やっぱり気持ち良かったです」。
 そう満面の笑みを浮かべた勝利の立役者、東海大仰星GK加藤広通(3年)は本来、このピッチに立てないはずだった。

 3週間前に行った練習試合で、味方と接触し、右の鎖骨を骨折。最初に行った病院では全治2~3か月と診断されたが、最後の選手権に立つ可能性にかけ、いくつかの病院に飛び込んだ。幸運にも、すぐに手術を受けられる病院が見つかり、手術を実施。「痛みはないけど、骨は折れたままで、プレートで固定して、取り敢えずプレー出来る状態」ながらも、医師や接骨院の懸命なサポートもあって、試合出場にこぎ着けた。

 ベスト8をかけて挑んだこの試合。前半から大阪桐陰に主導権を握られたが、「自分たちはどれだけ攻め込まれても、最後のシュートの局面でやりきらせない自信があった。チャンス自体が少なかったので、点が取れる気はあんまりしなかったけど、守備でも、皆走ってくれて、奪われる気もしなかったしので、勝てる気がしていた」とチーム全体での粘り強い守りで決定機を与えず。自信も鋭い反応と絶え間ないコーチングで、堅守を支えた。

 そして、迎えたPK戦。「昨年の選手権のベスト8、星稜戦で一本も止められなかったのが、悔しかったので、今年に入って、猛練習していた」という成長を示す絶好のチャンスを迎える。「キッカーの蹴るタイミングが感覚で分かるようになったり、PK戦には自信があったので、これは来たな、見せ場やなと思った」と振り返ったように、ここぞとばかりに鋭い反応を連発。2、3人目のキッカーをきっちりと防ぎ切り、勝利を手繰り寄せたが、加藤の好セーブに負けじと大阪桐陰のGK石原亮太(2年)も2本ストップ。振り出しに戻された上、仰星の5人目のキッカーも石原の壁に阻まれてしまう。

 次に決められると敗北が決まる場面で、藤原は読み通り右下に飛んで、またしてもセーブ。九死に一生を得ると、5-4で迎えた8人目のキッカーもドンピシャで防ぎ、勝利とを告げる笛の音とともに、駆け寄ったチームメイトに抱きついた。

「怪我をして、色んな人にお世話になった。そして、中学時代からお母さんとお父さん、親にはずっと支えられている。試合で活躍して、恩返しがしたいなと思っていたので嬉しかった。全国に出て、もっと喜んでもらいたい」と最後まで笑を絶やさずに、残り3試合、「更なる恩返し」を誓ってみせた。

(取材・文 森田将義)
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