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1アシストの遠藤「今が自分たちのピークじゃない」

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[11.19 国際親善試合 日本3-2ベルギー ブリュッセル]

 完全アウェーの地で4万2979人の観衆を黙らせた。FIFAランキング5位、来年のブラジルW杯本大会で第1シードが確定しているベルギーに3-2で逆転勝ち。16日にはFIFAランキング8位のオランダと2-2で引き分け、欧州の強豪との2連戦だった遠征を1勝1分で終えた。それでも、MF遠藤保仁(G大阪)は冷静に語る。

「いい形で(2013年を)締めくくれたのはよかったけど、この2試合だけで判断するのはよくない。次は来年の3月まで代表はないので、クラブに帰って、どれだけ個々を伸ばせるか。チームとしても、次に集まったときに課題をしっかりみんなで話し合いながら、より強いチームにしていきたい」

 オランダ戦に続いてベンチスタートとなった遠藤は1-1で折り返した後半開始からピッチに入った。「外から見ていても、そんなにプレッシャーはきつそうじゃなかった。どこかでリズムを変えていければと思っていた」。前半はMF長谷部誠とMF山口螢のダブルボランチ。どちらかというと守備的な2人から、後半は遠藤、長谷部というレギュラーコンビに変わった。

「ボランチのエリアはほとんどノープレッシャーだった。そこで簡単なミスをしてカウンターを受けている場面もあった。ボランチが前に行くことでCBもボールを運べる。外から見ていて、ボランチの位置が低いのかなと思っていた。多少リスクを負っても、前に行けばチャンスになるかなと」

 ボランチの位置から積極的に攻撃で顔を出し、高い位置でパスをつなぐ。そんな狙いどおりの形から勝ち越しゴールをアシストした。後半8分、相手PA近くでボールを持った遠藤が中央に折り返し、MF本田圭佑がトラップから右足でミドルシュート。2-1と逆転すると、後半18分には今度は長谷部が起点となってFW岡崎慎司の追加点が生まれた。

「サイドから簡単に入れても跳ね返される。ワンツーで抜け出したり、ある程度高い位置で絡めば、中の人数も増える。3点目はいい形だったし、人もボールも連動しながら点を取る形が増えていけばいいと思う」

 オランダ戦で2得点、ベルギー戦で3得点。攻撃面で手応えをつかんだ一方、守備は2試合連続で2失点した。2試合とも自分たちのミスから先制点を許し、この日は3-1の後半34分にセットプレーでもゴールを決められた。

「セットプレーは課題だし、高さがない分、もう少し工夫して守らないといけない。崩されるというより、一発のスルーパスとか(から失点すること)が多い。一発でやられるような場面を減らしていけば、よりピンチの回数は減ると思う」

 終盤は高さやフィジカルを前面に押し出すベルギーの猛攻にたびたびピンチも招いた。それでも最後のところで体を張り、3-2で逃げ切った。内容だけでなく、勝利という結果を手にしたことはチームにとっても大きいはずだ。

「ピンチもあったし、同点に追いつかれてもおかしくない場面もあった。それでも勝ち切れたことは先につながる。選手も楽しくプレーしていたし、こういう試合を増やしていきたい」

 2013年の日本代表の活動はすべて終わり、次は来年3月までない。W杯本大会に向け、いよいよカウントダウンに入る中、前回の南アフリカW杯もチームの中心選手としてプレーした遠藤は「4年前のこの時期と比べて現在のチーム状況をどう思うか?」という質問に「人も監督も違うので」と、比較はできないとしたうえで力強く言った。

「今の状況が自分たちのピークじゃない。この2試合である程度の手応えはつかんだけど、最低限、この精度を保って、3月から本番までの間にもう一段階、上のチームにしていきたい」。自国開催以外では初のベスト16進出を果たした南アフリカW杯以上の成績を残すためにも、ここで歩みを止めるわけにはいかない。

(取材・文 西山紘平)

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