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リオ五輪目指すU-21代表・手倉森監督が就任会見「やれない選手は置いていく」

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 リオデジャネイロ五輪を目指すオリンピック代表チームの指揮を執る手倉森誠監督が11日、都内で就任記者会見を行った。契約期間は来年1月2日からリオ五輪本大会が終わる16年8月31日まで。来年のブラジルW杯後はA代表のコーチも兼任する。

「リオ五輪への旅の舵取りということで、日本国民の期待を背中に背負って一生懸命がんばりたいと思います」。記者会見で決意表明を述べた手倉森監督は「Jリーグが最後、3連敗で終わったので、原さん(原博実技術委員長)に『やっぱりやめた』と言われないかなと思って、今日ここに来ましたが、無事にこうしてみなさんの前で挨拶ができて、ホッとしたのと同時に、いよいよ始まるなという気持ちでいます」とジョークをまじえて語った。

「リオ五輪は、東京五輪に向けても大切な大会になる。前回のロンドン五輪がベスト4となれば、それ以上の期待がかかるだろうなということは理解しているし、東京五輪は自国開催なので、金メダルを目指さないといけない大会になる。それに弾みを付けられるような大会にできるように、来年1月から若手選手を鍛え上げて、進んでいきたい」

 手倉森ジャパンの初陣となるのは来年1月にオマーンで開催されるAFC U-22選手権。まだ仙台で天皇杯も残している手倉森監督はまだこの年代の選手たちを十分に把握できていないこともあり、AFC U-22選手権に出場するU-21日本代表メンバーは技術委員会が主導で選考した。

「共同生活ができる大会なので、選手のプレーはもちろんだが、パーソナリティーも見極められるようにしたいし、成長を促すために、コミュニケーションを取って、その手助けをしたい。勝ち続けることで成長を加速させられる大会だと思うし、そこを目指しつつ、こっちの考え方と彼らの考え方を把握できればなと思う」

 記者会見に同席した原委員長は「仙台でも選手の能力をうまく引き出し、同じ方向に向かってチームをつくっていた。フェアプレーで激しく、若い選手の能力を引き出してくれるだろうと思って、シーズン中ではあったが、仙台の了承も取って交渉を進めてきた」と説明。「若い選手を鍛えて、同じ方向を向かせて、チーム一丸となって戦うチームをつくってくれると思う。芯がブレないというか、目標に向かって真っ直ぐに進んでくれると信じている。そこが最大の決め手」と期待を寄せた。

 五輪アジア予選は前回大会までのホーム&アウェー方式から中立地でのセントラル方式に変わった。15年に開催される第2回AFC U-22選手権がリオ五輪予選を兼ねることが決まっており、来年1月の第1回大会は、その格好のシミュレーションにもなる。

「セントラル方式の大会では、チームが一つにまとまるための雰囲気づくりに最大の力を発揮しないといけない。一体感をつくることには、自分なりに自信があります」。そう力強く語った手倉森監督は「まずは国を背負って戦うということに対する責任、誇り。それは特別な作業だと意識付けしていきたいし、いろんな経験をしていく中で、日本を背負って戦うということが特別ではなくなるように、やり切れる選手になるように、メンタル面も成長させていきたい」と、チームづくりのビジョンを描く。

 若い年代を育てるための手法を問われた指揮官は「コミュニケーションを取ること、モチベーションを与えること」と指摘。「サッカーの監督、選手という立場でもコミュニケーションは取るが、一人の人間として、この世界で生きていくための心構えなどを、人生の先輩としていろんな立場から話していければと思っている。私もこうして代表監督になったが、順風満帆だったかというと、そんなことはない。いろんな苦労もしてきたし、ミスも起こる。そういうときに前を向く姿勢、ポジティブな姿勢を貫いて、彼らを導ければと思っている。選手を信頼し続けるということ、期待し続けるということをやり続けたい」と力を込めた。

「クラブチーム内に競争があるの当然だが、この代表チームではもっと激しい競争をあおりながらやっていかないといけない」。U-21日本代表チームは来年1月5日に集合し、オマーンに飛び立つが、すでにシーズンオフに入っている選手も多い。「選手がどれだけ高い意識を持って1月5日に集合してくれるか。そこから競争は始まる。やれない選手は置いていくしかない。それはこの場を借りて、各選手に伝わっていけばと思っている」。メディアを通じて選手にメッセージを送った手倉森監督。リオ五輪を目指す選手たちのサバイバル競争は、すでに始まっている。

(取材・文 西山紘平)

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